こんにちは皆さん、プロフェソーレ・ランバルディ静岡の大橋です。図らずも久しぶりの記事となってしまいました。
ナポリにいると人々は、一体どのようにして休みを充実させるか、あるいは仕事の合間にいかに休息を楽しむかということばかりを考えてしまうのですね。いや、私の場合にはしっかりと働いております。
ナポリの人々から見れば「彼こそはSignor Giapponese(ミスター日本人)だ」というわけです。
さてそんな中、ちょっとした幸運に恵まれ、Sartoria Dalcuore サルトリア・ダルクォーレのアトリエを訪れる機会を得ました。
Sartoria Dalcuore そのアトリエは美術館のようだ
ナポリ湾を望む一室で、最高の芸術品が生み出される。
Sartoria Dalcuore サルトリア・ダルクォーレをオーダーするためにカラッチョーロ通りのアトリエを訪れた人々は、夢見心地で採寸を受けることになるでしょう。
なぜならその開放的なアトリエの窓からは、青く太陽の光を受けて輝くナポリ湾が全面に見渡せるのですから。
ナポリでは海沿いの地域は、基本的に高級マンション街となっています。
例えばランバルディ教授が住んでいたリヴィエラ・ディ・キアイアはもちろんのこと、より西へと進んだポジッリポ、そしてその中間にあるこのメルジェリーナ周辺は、ナポリの中では驚くべきほど整然とした雰囲気です。
さて、そこによく似合うのがSartoria Dalcuore サルトリア・ダルクォーレのアトリエ。
ナポリ風のバロック建築は非常に美しい色彩で彩られています。この地中海らしい明るい色合いと、歪んだ真珠を意味する重々しいバロック様式の交錯、これはナポリの真髄です。
さてその1階(と言っても日本で言えば1.5階に近い高さですが)にあるのがSartoria Dalcuore サルトリア・ダルクォーレのアトリエ。
キュビズムや抽象画に囲まれた真っ白のアトリエは、ある意味ではナポリのサルトリアらしくない雰囲気。これは言うなれば、いかにもSartoria Dalcuore サルトリア・ダルクォーレらしい雰囲気のアトリエです。
彼の仕立ては、まるで芸術品のようなのです。
Sartoria Dalcuore サルトリア・ダルクォーレ その仕立てとは?
さて、以前にも紹介したことがあるかもしれません。Sartoria Dalcuore サルトリア・ダルクォーレの仕立ての特徴は、何と言ってもその独特の感性です。
決してありきたりなナポリ仕立てに収まることなく、独自の解釈で切り開いていく彼だけのナポリ仕立ては、まさにその人が描くからこそ価値のある絵画のようです。
力強いシルエットと、まるで最高級のカポディモンテ陶器の花に見られるような鋭利で洗練された造形と仕上げ。特に肩周りの一切無駄がない仕上げには毎度驚かされます。
ぐっと後ろに下がっていく肩線、それに対し前肩を包み込むようにせり出した立体。そこへ大胆かつ繊細な雨降袖が垂れている様子は、まるきり芸術品と言わずして何と言いましょう。
かくしてSartoria Dalcuore サルトリア・ダルクォーレが実現している着心地は、マジックです。
どこまでもフィットして浮くことのないショルダー。腕を上げたときに、その魔法を感じるでしょう。
また副資材をほとんど用いてないにも関わらず、イングリッシュドレープにも通じるドラマチックな抑揚を持っており、着ていることを感じさせない軽さと、その力強いシルエットとのギャップにも感心するはずです。
Sartoria Dalcuore サルトリア・ダルクォーレは決して低価格なサルトリアではありません。
しかし誰がピカソの絵を「他の画家と比べて高い」というでしょうか。私たちはSartoria Dalcuore サルトリア・ダルクォーレの服を注文しようとしているのであり、それ以外の何でもありません。
この美しいアトリエの扉を開けて後悔することは、決してないでしょう……。