ある憂鬱な雨の季節に、一人の紳士が仕立て屋を訪れて来た。
彼は心が晴れやかになるようにと、派手な格子柄や風変わりな色の上着や外套を注文した。
仕立て屋は心配して言った。
「よろしいのです?仕上がる頃には気持ちの良い季節になって、もっと普通なジャケットを着たくなるかもしれませんよ」
すると紳士は言った。
「なあに、構いません!普通なジャケットを着て過ごすのは梅雨よりも憂鬱です……」
こんにちは、プロフェソーレ・ランバルディ静岡の大橋です。
さて、今回はキャンペーンというほどのものでもありませんが、ささやかな企画をご用意しました。
本当はもっと定番的で、誰もが必要としている紺スーツやブレザーの生地を紹介すべきなのでしょう。
しかしこんな時だからこそ、ちょっとした楽しみがあったも良いじゃありませんか!
なんとなく着る服がマンネリ化して着た頃にふと「そういえば、こんな面白いジャケットをオーダーしていたじゃないか!」と思い出すような一着が、時には必要なのです…..。
人生が無限の季節の繰り返しなら、カジュアルジャケットとスポルベリーノにささやかな楽しみを託そうじゃないか。
– 洋服屋店主
とまあそういうわけなのです。
今回ご紹介するのは実に美しいビンテージのジャケット生地が二種類と、スポルベリーノのコートにぴったりなカシミア生地です。
#1 Verde Vintage(ナポリの生地屋に眠っていたカシミアシルク混ウール)
素敵な色合いじゃありませんか!
あの店は「グリーンの生地ばかり在庫している」とまことしやかに言われていますが、私はきっぱりとその噂を否定しましょう。
当店は「素敵なグリーンの生地ばかり在庫している」のです。こんな美しく、素晴らしい表情のグリーンは滅多にお目にかかりません。
春秋冬におすすめの合物ですが、ウールを中心にカシミアシルクが混紡された、実に贅沢な生地。柔らかな手触りにシルクの素材感と煌びやかな光沢が加わり稀有な風合い。チェザレ・アットリーニが選びそうなラグジュアリーな生地感です。
もっとも、この生地を仕入れているナポリの生地店はどこからかキートンやアットリーニの持ち生地も仕入れており、それらはネームの付いていない生地が殆ど。この美しいグリーンが彼らの選んだものかどうか定かではないが、ロマンがあるじゃありませんか…。
ソクラテス風に言えば、
我ら両者のうちのいずれがいっそう良き生地に出逢うか、それは神より外に誰も知る者がない。
とこういうわけです。いっそう良き生地には挑戦した人が出会うと、そう私は信じております。
#2 Blu della Storia(美しい新古典的ブルーのウールカシミア生地)
しかし色々と書き立てつつ、私は深い青というのを愛しています。それは読者の皆さんも、きっと同様でしょう。
青は実に様々で、鉄の意志を持つかのようなダークネイビーから、鮮やかなナポリ湾の色、そして絵の具で塗ったような空色までたくさんの種類があります。
今回ご紹介するのは、あるいは新古典的とも言える青。
ヨーロッパ中の新古典主義様式、そしてアンピール様式の宮殿で美しい家具や装飾に用いられてきた、知性と品位を表す青です。
青すぎず、わずかにグレーがかっているが、かといって控えめすぎることはない。
限りなく淡い色合いのアクアマリンを幾千と積み重ねていったら、きっと最後にこのような色になることでしょう。
そしてこの生地の良さは決して、色だけではありません。
ウールカシミアの柔らかい手触りを持ちながらも、奥ゆかしい光沢を持ち、何よりもこれまで出会った生地の中でも群を抜いて目付が良い。
300g/m代後半かと思われますが、コシが強く、ぐっと握ってもシワがつかないほど。それでいて生地は厚すぎず、むしろぐっと圧縮されたような風合いです。
ビンテージ生地の中でも、これほどの色合いと美しさを持ちつつ、これほど仕立て栄えする強さを持ったものには中々出会えないことでしょう。
例えるなら、知的で美しく芯の強い女性と出会うようなものなのですから…。
#3 Cashmere Spolverino 羽織るような極上カシミア
さて、最後にスポルベリーノのコートにぴったりなピュアカシミアを。
こちらは一転して実にオーセンティックなキャメルとネイビーの二種類ですが、しかしその質は平凡どころか、むしろ驚くべきものです。
シルクのような光沢を持つカシミアで、ほんのわずかに波打つ表情が非常に艶やかです。なめらかな手触りは一度触れたら忘れられない感覚。
カシミアには様々な風合いがありますが、これはまさにナポレターノ好みの生地。さらりと着こなすコートこそがエレガントであるという彼らの信念を体現したかのような生地感です。
キャメルは濃すぎることも明るすぎることもない絶妙な色合いで、上品なゴールドのようでさえあります。またネイビーはどんな着こなしも一気に引き締めてくれるBlu Notte(夜の青)です。控えめですらあるトーンですが、豊かな光沢により一気に存在感を増し、エレガントな雰囲気になっています。
何よりもこれらの生地は、実に軽快です。
重さは300g/m後半、やろうと思えばジャケットでも仕立てられる生地ですが、やはりおすすめは軽快なスポルベリーノのコート。
シンプルなチェスターフィールドコートに、斜め型のスラントポケットで仕立て、デニムやコットントラウザーにさらりと羽織るようなイメージです。
もちろん仕事用のシングルチェスターにしても良いでしょう。スマートな生地感なのでツイード等と異なり、ウーステッドのスーツの上に着ても違和感のないドレッシーなコートになるはずです。
Sartoria Caracciolo × Four Fabrics
これら四種類の生地をお選びいただいたお客様には、サルトリア・カラッチオーロの仕立てを特別価格でご案内します。
※各1点ずつのみ、売り切れ次第終了です。
#1 Verde Vintage
サルトリア・カラッチオーロ ジャケットMTM
通常総額 272,800円(税込) → 特別価格 180,000円(税込)
仮縫いオプション + 2万円
納期 4〜5ヶ月を予定
https://rambaldi.theshop.jp/items/30843166
#2 Blu Della Storia
サルトリア・カラッチオーロ ジャケットMTM
通常総額 276,800円(税込) → 特別価格 192,000円(税込)
仮縫いオプション + 2万円
納期 4〜5ヶ月を予定
https://rambaldi.theshop.jp/items/30843136
#3 Cashmere Spolverino
サルトリア・カラッチオーロ シングルチェスターコート MTM(ディテールは自由)
通常総額 346,500円(税込) → 特別価格 240,000円(税込)
仮縫いオプション + 2万円
納期 4〜5ヶ月を予定
https://rambaldi.theshop.jp/items/30843696
ご注文方法
ご注文はオンラインストアにてご決済ください。
各1着ずつのご用意ですので、お早めにご検討くださいませ。
ご注文後、原則として4ヶ月以内にプロフェソーレ・ランバルディ静岡にご来店いただき採寸をいただくか、サイズゲージをお客様のお手元に送付し、ご試着いただいて調整をする形にてお仕立てとなります。
(プロフェソーレ・ランバルディの限定生地のため、静岡限定になりますがご了承くださいませ)
すでに以前Sartoria Caraccioloをご注文いただいたことのある方の場合には、オンラインでご注文が可能です。
ご不明点がございましたら、お気軽にお問い合わせくださいませ。
はじめまして
検索でたどり着きました。
静岡市にあるお店なのですね。
以前、雪月花さんやオガハウスさんでお世話になっていました。
気になるのでまた機会をみて伺いたいです。