Sartoria Piccirillo ジャンニ・ピッチリーロの仕立てるクラシックジャケット

こんにちは、プロフェソーレ・ランバルディ静岡の大橋です。

実は事情で愛車のクアトロポルテが現在ディーラー入庫中なのですが、現在その代車としてあろうことか最新型クラウン・ハイブリットに乗っています。

すると周りの人々が、ここぞとばかりに私にああだこうだ言うのです。

「お、今日はかっこいいマセラティですね。最新型は燃費が3倍に向上したんですか?」

一ついいことをお教えしましょう。この最新型のクラウンの燃費は街乗り17.5km/lで、私のクアトロポルテは街乗り3.5km/l。すなわち約5倍です。

一度心配になってディーラーに「一向に燃料計の針が動く気配がないんです。壊れていませんか」と電話を掛けそうになったほどです。

さて、クラウンに合わせてというわけではありませんが、今日はかなりコンサバティブな着こなしです。これは先日ジャンニ・ピッチリーロから届いた美しいクラシック・ジャケットをお披露目させていただくためなのです。

ジャンニ・ピッチリーロの仕立てるクラシック・ジャケット

ジャケットに厳密な種類があるというわけではありませんが、やはり大きく分類してもジャケットスタイルには2つの方向性があるでしょう。すなわちカジュアルに使うためのジャケットと、スーツの代用として使うビジネス・ドレス系のジャケット。

後者の中でもダークネイビーのソリッド、ウーステッドのウールで仕立てたものは王道のジャケットと呼んで差し支えないでしょう。

洋服屋の私にもそんな王道さが必要なシーンがついに訪れ、今回はジャンニ・ピッチリーロと話し合って特別なシーンでも使える上品さと美しさを持つ「クラシック・ジャケット」を作ってもらいました。

サルトリア・ピッチリーロの端正なショルダー周りとボリューム感のあるチェストまでのラインはそのまま生かしつつ、シングルステッチに玉縁ポケットを選び、ナポリらしさを強調しすぎずグローバルに使えるものとしています。

普段はダブルステッチにパッチポケットですが、仕様がシンプルになればなるほど、ジャンニの生み出すドラスティックな立体感や、シャープな仕上がりが際立ちます。

袖付けはいつもと同じマニカ・カミーチャ。とはいえジャンニはギャザーをたくさん寄せず、端正なマニカ・カミーチャで仕上げるので、クラシック・ジャケットとしての雰囲気を妨げることはありません。

わずかにカーブのついたバルカ・ポケットも、ジャンニの標準的なカッティングです。こうして見ると、彼の仕立ては意外にもオーソドックスであることがわかります。

これは彼が昔ながらの手法を守り続けている証拠です。もともとナポリの仕立ては、グローバルスタンダードからそこまで外れたものではなかったのです。しかし最近流行になったこともあり、いろいろな部分が誇張されてしまった。その形が大々的にナポリ仕立てだ、と宣伝されたので大きな誤解が生まれたのですね。

実際にはサルトリア・チャルディも、サルトリア・パニコも、このサルトリア・ピッチリーロも、古くからの仕立て方法を守り続けているところは、グローバルにも通用するディテールを持っていることが多いです。

中でもジャンニ・ピッチリーロの仕立てるジャケットは、生粋のナポリタン・クラシックです。「守り続けてきた形」そのものの存在感や説得力を感じます。

美しくステッチに彩られたトラウザー

ついでに、クラシック・ジャケットに合わせるために仕立ててもらったトラウザーも見てみましょう。

ジャンニ・ピッチリーロの仕立てるトラウザーには、彼なりの美意識がやどっています。すなわち徹底的に無駄をそぎ落とすこと。

サルトリア・ピッチリーロのスーツを着てみると、特にそのトラウザーの着用感に驚きます。ウエストから尻周りにかけて適度なテンションを保ちながら、ぴったりと沿う意外にも攻めたフィッティング。しかし太ももからは解放されたように自由になり、すっとまっすぐ裾まで落ちていきます。

すなわち「細くする」のではなく「無駄をそぎ落とす」という攻め方で生まれる美しさを追求したトラウザーなのです。もたつかず、野暮ったさが一切ありません。

もちろんトラウザーにもハンドメイドらしい美しさは忘れていません。


 

サルトリア・ピッチリーロの特徴を手縫い感や、ナポリらしさ、という言葉で表現するのは簡単です。

しかしそれは彼らが昔ながらの手法を守り続けながら、真摯に服と向き合った結果生まれたものでしかないのです。

グローバルに通用するクラシック・ジャケットを、サルトリア・ピッチリーロのナポリ仕立てで。

近日、キャンペーン開催予定です。

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