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今日もNicola Giordano 優雅なるヴィンタージュ・ジャケットのキャンペーンである。二つの美しい生地……曰く付きのジャケットたちを紹介しよう。
Left Behind – 残されたもの(売り切れ)
どれほど美しかったとしても、あるいはどれほど貴重だったとしても、全てがきっちりと消費され尽くされるわけではない。世界には秀逸であるにも関わらず、時の流れの中ですっかり忘れられ「残されたもの」がたくさん存在する。
その一つが、このウールシルクリネンだ。
散りばめたプラチナのように美しく輝くシルクの光沢、表情豊かなリネンのネップ。それを上質なウールが支え、優雅なシルエットを描く素晴らしい合物。ベントレーの手塗りメタリックカラーを思わせるような絶妙なトーンだ。
これはかのチェザレ・アットリーニが数年前にコレクションで使用するために織られた生地である。
あのナポリ屈指の洒落者ブランドは、この宝石箱のような高揚感のウールシルクリネンを、スポルベリーノのコートにして発表した。(まったく、なんと高尚な遊び心だろう!)
大きめのヘリンボーンと表情豊かな生地感を見れば、彼らのアイデアがとても必然的なものにも思えてくる。しかし日本の気候を考えたら、この生地で作るべきはパッチポケットのジャケットだ。
背抜きの軽やかさを活かし、羽織るような柔らかいジャケットをニコラ・ジョルダーノに頼むとしよう。
Left Behind、残されたからといってその美しさが薄れていくことはない。いやむしろ未発見のまま眠っていた宝物には当時以上の価値すら感じられる。それがアットリーニの置き土産ならばなおさらだ。
Left Behind – 残されたもの
Nicola Giordano Jacket MTO 通常価格 420,000円 → 年末特別価格 258,000円(+税)
※仮縫い付きMTMは20%UP
The Only Answer – 唯一の答え
サンドベージュのジャケットに憧れない人はいない。ブラウンやオフホワイトのニット、白いトラウザーの上に羽織るサンドベージュは、あまりにも高貴でエレガントである。
しかし圧倒的な確信を持って手に入れられるようなベージュのジャケットは正直なところ皆無だ。何かが違う。毎度奇妙な違和感が胸のうちによぎり、結果としてワードローブにはベージュのジャケットだけが未だに欠けている。
ここに一着分、ロロピアーナのカシミアウールがある。それもジャケット的なニュアンスを持つ広めのヘリンボーンだが、目付けは300g/m程度と重すぎず、それでいて目が詰まっている。そして何よりもスパンカシミアのように光沢を放つ艶やかな生地だ。
なぜベージュがこれほどまでに難しかったのか、これまで言語化することが難しかった。しかしこの生地を見た時、全てが腑に落ちたものである。
ベージュはラグジュアリー・カジュアルである。カジュアルなだけでは絶対に成り立たない。極上の艶やかさや質感が溢れ出ているから美しいのである。
語弊を恐れずに言うのであれば、人を惹きつけるベージュはベージュではなくゴールドなのである。
この生地は古代ギリシャの彫金細工のようなヘリンボーンだ。光が当たるとキラキラと輝き、細かな織が無限の表情を見せてくれる。生地の状態でありながら、これがつややかなヴェールをまとう乙女のような色気のジャケットに仕上がるのが、眼に見えるようだ。
ここに一着分の答えがある。
これが売り切れた時には、ギリシャ神話的に言えばまた「手に入らない黄金の羊の毛皮」を求めるアルゴー船の乗員が増えるというわけである……。
The Only Answer – 唯一の答え
Nicola Giordano Jacket MTO 通常価格 420,000円 → 年末特別価格 258,000円(+税)
※仮縫い付きMTMは20%UP
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