並々ならぬアイリッシュリネン・コレクション

いいかい、ロージャ、世の中へ出て成功するためにはだな、ぼくに言わせればシーズンというものに常に注意をおこたらなければそれで十分だよ。一月にアスパラガスを食べようなどと思わなければ、何十コペイカか財布の中にのこしておけるわけだ。- ラズミーヒン

季節というものは美しく儚い。まるで街角で通り過ぎる清純な美女のようである。向こうからふと現れたかと思えば、通りざまにちらっと横目を合わせて、そのまま去っていくのだ。

ある晴れた日、例えば春の訪れを感じる日曜日に仕事をしていようものなら涙が流れるはずだ。人生にあと何度あるかわからないこの素晴らしい日に、春の訪れを予感させる太陽に背を向けて、私は何をしているのだろう?とそういうわけだ。

しかし悲観することはない。私たちの冬にはツイードがあり、春や夏にはリネンがあるからである。

季節感がより希薄になりつつある現在に、ツイードやリネンはもう必要ないかもしれない。だが、それがなんだというのだろう。「人生を謳歌するという意味」ではいつまでもツイードが、そしてリネンが…….それも極上のリネンが必要なのである。

さあ、来たるべき季節のために種を蒔こう。リネンジャケットを仕立てればもしこの冬が明けて麗しい春夏になったとき、もし我々が悲嘆にくれながら仕事をしていたとしても、その身を美しいリネンジャケットが包んでくれるからである。

Vintage Irish Linen Collection

今回のアイリッシュリネンは特別だ。もちろん今まで紹介してきたアイリッシュリネンも格別素晴らしいものだが、これは何しろイタリアの仕立て屋で知らない人はないジョバンニ・ライノルディ氏から直接譲ってもらったビンテージ生地だから出自が異なる。

ライノルディ氏はイタリアでFox BrothersやHarrisons等のイギリス生地を扱う代理店のオーナーだ。実にエレガントな紳士で、常に素晴らしい装いで人々を魅了している。

私は幸運なことに前回の短いイタリア出張で彼と同席し、プロシュートやモッツァレラについて語り合い、同じフランチャコルタで乾杯した後、彼のコレクションから最も素晴らしいビンテージ生地を数着分譲ってもらったのである。

(これほどに素晴らしいリネンを譲ってもらうために、あの上質なスパークリングワインが果たした功績は大きい。シラフなら決して手放さないような代物だからだ)

1. Vintage Herringbone 300g/m(売り切れ)

これを100%リネンだと言って誰が信じてくれるだろう?手に触れて、何時間向き合ったとしてもこれは最高級のウールシルクか何かだ。それほどに目が細かく、腰が強い。圧縮感とあの冷ややかな重量感さえ感じるのに、手触りはSuper 150’sのように滑らかだ。

光沢は豊かで、それでいて上品だ。最高級のシルク以外でこれほどの光沢を見たことがあるだろうか。

そして何よりもこのグレーがかったブルーの色合いと、ヘリンボーンの美しさだ。これほどまでに美しい生地が今まで残っていたのは、ライノルディ氏が「売らなかったから」という理由しか考えられない。

シンプルなジャケットを仕立てよう。グレーのトラウザーでもデニムでも、実に色気あるコーディネートになるだろう。

2. Vintage Hopsack 300g/m

アイリッシュリネンの美しさを楽しもうと思ったら、素材だけでなく「織り」の重要性は計り知れない。しかし多くのリネン生地がサージの一般的な織りだから、その重要性は忘れられがちだ。

しかしこの生地を見たら、美しい織りというものがリネンにもたらす効果を感じずにはいられない。もしも聖書の創世記で「光あれ」と神が言ったときに「水のおもて」を眺めていたら、きっとこのように煌めいたことだろう。あるいは満月の夜、風に吹かれてちらつくアマルフィの海といえばもっとわかりやすい。

目を瞑って触ってみよう。きっとカシミア混のホップサックだと言っても疑うことなく信じるはずだ。それほどに柔らかく、贅沢な手触りだ。手から滑り落ちるように艶やかなリネン生地など夢見ることすらないかもしれないが、一度この生地に触れたら数ヶ月に渡って夢に出るだろう。

水牛のボタンをつけても良いし、シェルボタンでアクセントにしてもエレガントだ。仕事でもカジュアルでも活躍する1着だ。

3. Pesantissimo 520g/m(売り切れ)

今回ライノルディ氏に譲ってもらった「並々ならぬアイリッシュリネン」の中でも、特に際立っていたのがこの生地だ。というのもこれほどまでにヘビーウェイトのヴィンテージリネンは、滅多にお目にかかれないからである。

520g/mはPesantissimo(=実に重い)だ。カシミアであればコートを仕立てるのに十分なウェイトである。現代にもスペンスブライソンのように500g/m近いウェイトでリネンを作っているメーカーはあるが、それは「そのようなリネンを復刻して欲しい」という声に応えた結果である。

これはそのオリジナルと言うべきものだ。重厚なのに、メッシュ織になっていて通気性が良い。生地感はざっくりしているものの、リネンの質の良さから手触りは非常に柔らかい。

着込んで柔らかくする、という意味で愛されているヘヴィーウェイトリネンだが、これは既に柔らかな手触りを持っているのである。これを着込んだらどれほどしなやかになるだろう?

そしてこの色もいい。上品な青さとざっくりとした生地の風合い、そして素材から滲み出る光沢感が、素晴らしい存在感を生み出している。

この生地で仕立てるジャケットは、最高のカジュアルジャケットだ。デニムやコットンパンツ、あるいはホワイトのパンツと合わせて。休日の何気ない1着として常に持ち歩けるし、持ち歩いた分だけ風合いが増していく。色褪せていく姿すら美しいジャケットなら、仕立てない理由が無いほどだ……。

LINO PARTICOLARE 並々ならぬアイリッシュリネン

さて、久しぶりのキャンペーンである。

1.Vintage Herringbone 300g/m 売り切れ

2. Vintage Hopsack 300g/m

3. Pesantissimo 520g/m 売り切れ

通常生地代40,000円 → キャンペーン価格 0円

すなわちこのページに記載されている仕立て工賃のみでお仕立て可能。いずれもジャケット生地で、それぞれ1着分のみの早い者勝ちだ。

これほどまでに希少なライノルディ氏のコレクションを「無料で」放出してしまうのは、相当に間抜けに思われるかもしれない。しかし私が後生大事に持っていて、どうなるというのだろう?

これほどまでに素晴らしいリネンならば、誰かに仕立ててもらい、そして大事に着込んでもらうべきだ、というのが洋服屋としての決断なのである。

ご注文やお問い合わせはコンタクトフォームから。

それでは、ご機嫌よう!