前編>> 永遠のポロコート(1) – Nicola Giordano 起死回生の物語
昨日に引き続き、今日はNicola Giordanoのポロコートのキャンペーンである。美しいだけではない、それぞれの魅力に満ちた生地たちを紹介していこう。
Half Century of Sleep – 半世紀の眠り(売り切れ)
久しぶりのBarnfind(納屋もの)の登場だ。この生地が生まれたとき世界にはまだインターネットもなく、日本は高度経済成長している最中だった。そう、これは1970年代に織られたカシミアウールなのである。
半世紀の眠りから覚めた明るいコッパーブラウンのコート生地は、まるでタイムカプセルのようだ。生地の油分もたっぷりと残り、美しい毛並みはまるで昨日織り上がったかのような艶やかさで輝いている。
しかし一度手で触れてみれば、この生地が現代では決して生まれることのない比類なきビンテージであることが容易に理解できるだろう。
ゆっくりと旧式の織機で途方も無い時間をかけて仕上げられたカシミアウール。髪の毛一本も通さないほどに緻密なのに、手触りは甘くしっとりとしている。
重量は500g/m後半と実に豊かだ。
これを織ったのはすでに40年以上前に廃業した伝統的なカシミアの織元、MoorBrookだ。一流ブランドにばかりカシミアを提供する老舗だった。
しかし(素性がわかっているにも関わらず)私がこの生地を手に取る限り、そのフィーリングはまるでどこかのisolato(孤立した)村か遠く離れた島で誰かが手作業で織り上げた生地のような、そんな雰囲気がある。
それにあまりにも色が良い。ダークトーンで着こなせば洗練された雰囲気になるし、淡いデニムとオフホワイトのニットなら実に洒脱なカジュアルスタイルになる。
ポロコートにおいて、これほどまでに叙情的な生地はないだろう。
半世紀の眠りから覚めたカシミアウール、たった3mである。
誰かがポロコート仕立て、着込むごとに形を覚え、色を深め、そして物語は続いていく。しかしそのストーリーを引き継ぐのはこのブログの読者の中でたった一人である。
Half Century of Sleep – 半世紀の眠り
Nicola Giordano Polocoat MTO 通常価格 499,000円 → 年末特別価格 285,000円(+税)
※仮縫い付きMTMは20%UP
1950’s Dream – 50年代の夢を見るシルクウール
上のカシミアウールと双璧をなす存在といったら、この生地以外に存在しないだろう。
これはDragoのデッドストックで、きっと想像もつかないだろうがSuper 180’sの最高級ウールにシルクを混紡したこの世で最も贅沢なコート生地の一つである。
しかしどうだろう。その見た目といったら、まるきり50年代のそれこそアントニオ・パニコやその師匠が愛してきたポロコートの生地である。幅の広いヘリンボーン、Sale e Pepeとイタリア人が呼ぶ白黒のモノトーン。あまりにもビンテージの世界に迷い込みすぎている。
私が敢えてこの生地をトルソーにかけて撮影したのには理由がある。それはこの生地には明らかにoverのニュアンスが必要だからだ。
それはこの十数年に渡ってメインストリームだったタイト〜ジャストのフィット感とは打って変わって、昔に見られたオーバーサイズの空気感である。
ポロコートならばゆったりとした肩幅で、たっぷりとした着丈で仕立てたい。大袈裟にやるならば写真のコートのようにベルトをつけてもよい。(その代わりポケットはスラントにする必要があるが)それから…….?それから何を言う必要があるだろう。
Nicola Giordanoのポロコートはまさに、この年代のアルスターコートやポロコートをそのまま現代に再解釈したような一着だ。あとはあの最高の手を持つ職人とニコラに任せれば、1950年代を夢見る現代最高のポロコートが仕上がってくる。
Super 180’s ウールとシルクの極上の質感、そしてビンテージスタイル。考えただけでわくわくしてしまう。
1950’s Dream – 50年代の夢を見るシルクウール
Nicola Giordano Polocoat MTO 通常価格 566,000円 → 年末特別価格 310,000円(+税)
※仮縫い付きMTMは20%UP
お問い合わせはコンタクトフォームから。
次回はジャケットだ。数多くの魅力的なビンテージジャケットを紹介しよう。
しかしもしもポロコートに興味があるのなら、待たずに問い合わせるのが懸命である。なぜならこれらは一度売れてしまえばもう出会うことのできない、あまりにも魅力的な生地達だからだ。