ONE OF A KIND 唯一無二のビキューナ(売り切れ)

実に多くのビキューナと出会ってきた。

どの生地も総じて優雅な光沢を放ち、幻の世界から来た動物を撫でているかのように滑らかだった。

ピュア・ビキューナも、ほんのわずかにビキューナを織り込んだ冷んやりとしたウーステッドも、例外なく美しかった。

だからこそ、この生地に出会ったときには衝撃が走ったものである。そして私は瞬時に確信したのだった。これはOne of a Kind(唯一無二)だと。

唯一無二の都市

唯一無二という言葉を使うのは簡単だ。しかし本当にその言葉にふさわしい代物を見つけるのは、それこそ蓬莱の玉の枝を見つけるように難しい。

しかしなんという単純明快な逸話だろう? ナポリという都市は、街そのものが唯一無二の存在なのである。

サルトリアで仕事中に無限に出されて飲むエスプレッソの味わい、50年以上一度も研いだことがないのに永遠に綺麗なままのハサミ。夕暮れのナポリ湾の輝き、古代ギリシャの入植者たちが敷いた石畳を走る3人乗りのスクーター。そうしたものに、他の街で出会ったことがあるだろうか。

そしてその街で出会った生地の多くは、特別な存在だ。街全体がサルトリアの文化を肌で感じ、世界中でも稀有な感覚を持ったナポレターノ達が買い集めた生地は、やはり他の街では出会えないような素材、質感、そして色彩であることが多いのである。

しかしこのビキューナは他に類を見ない、本当の唯一無二だ。そしてその希少性に打たれ、(その背筋の凍るような値段にも関わらず)一寸の躊躇もなく仕入れてきたものである。

ONE OF A KIND 唯一無二のビキューナ

こぼれ落ちるようなカシミア、幻想的なピアノのアルペジオのように杢を連ねるリネンと、浮世離れしたビキューナの光沢。こんな夢のような相物の生地は、きっと誰も予測だにしていなかっただろう。

そして長い間忘れられていた銘木のようなブラウンだ。重厚で銘木は磨くと金属のような冷たい光沢を放つが、まさにそのような雰囲気だ。有機的な表情とは対照的なこの光沢はまるで、あわや不協和音寸前でありながら最も美しい組み合わせの和音を聴いているかのようである。

何も包み隠すことはない、あのキートンの別注生地である。究極のラグジュアリーを突き詰めたブランドにしか、このような生地を注文することはできない。織っているのは(あくまで推測だが)ロロピアーナだろう。これほど繊細な素材を贅沢に織り合わせ、実用的な服地にすることができるのは其処だけだからだ。

語弊を恐れず書くならこれは「世界で最も高貴なカジュアル」だ。せっかく手に入れた神の繊維…ビキューナをネイビーでもチャコールグレーでもなくこんな風合いに仕上げるなんて、狂気の沙汰だ。

しかしそこには貴族的なラグジュアリーのヒントが隠されている。これはある意味、大理石と高級なウッドで張り巡らされたクルーザーのようなものだ。海の上には過剰とも言えるエレガンスの追求が、世界で最も優雅なクルーザーを作り上げたのである。

休日を過ごす洒脱なブラウンのジャケットが、これほどまでにラグジュアリーである必要はあるだろうか?必要性で言えば答えはNOだ。しかし私たちの答えはYESだ。なぜなら美しいものへの渇望は無限であり、その強い思いが優雅な文化を発展させてきたからである。

幸いビキューナの生地は大量にストックしている。もっと無難な生地も、これに匹敵するほど美しい生地もある。だがこの表情を持つ生地はこれを除けば “niente”(ゼロ)だ。

この生地は正真正銘の唯一無二なのだから。

 

ONE OF A KIND 唯一無二のビキューナ

 3m着分 生地代 300,000円(税込330,000円) → 売り切れ 

※別途お仕立て工賃が掛かります。各サルトリアの工賃は価格表をご覧ください。

※3mのためスーツ/ジャケットどちらも可能、生地代はいずれも上記価格。

※先着順のため、売り切れの場合はご容赦ください。