奇想画、あるいは実にローマ的なエレガンスについて

「ローマは恋人で、ナポリは家族のようなものだ」

私はプロフェソーレ・ランバルディの店内でも、昔からの友人との飲み会でも、あるいはイタリアのバルでも、こう答えてきた。

ナポリは家族だ。

当然もっとも身近で大切な存在であり、最大限の心をもって接している。しかし家族であるからには、嫌な部分も切り離せない。そこには無償の愛というべき純潔な感情と、諦め、そして無力感がある。更に強烈なイタリアの原体験というべき数々の物語も、私のこの街への感情と特別なものとしている。

だが、それらについてはまたいつか改めて書くとしよう。

今日はこの「家族」ではなく、「恋人」について書くべきときだからである。

ローマは幻想の世界だ。

一国の首都であるだけでなく西洋文明の故郷であり、そしてカトリックのお膝元でもある。それらがまるで一つのギャラリーに収められているかのように、あの小さな街に全てひしめきあっている。

あまりにも多くの重要な遺跡と美しい建築、そして政府という機構が一挙に詰め込まれた様子は、まるでジョヴァンニ・パオロ・パニーニの描く奇想画=カプリッチョのようである。

そんなローマには、この街特有の文化がある。

個人事業主が多いナポリではジャケットスタイルが好まれるが、ビジネスマンや官僚が多いローマではスーツが好まれる。

看板を出さない仕立て職人のスーツにビスポークの靴、それからバッグ。ローマの紳士たちはイタリア中で最もエレガントな装いを好む人々と言っても過言ではないが……かといってミラノのようにダークカラーに一辺倒でもない。どれもクラシックでありながら、どこか華やかさがある。

ここがある意味一番「ローマ的」な部分だ。

つまり彼らは重要な会議や打ち合わせでエレガントに装うことを求められているが、一方で街並みはローマ原産の大理石・トラバーチンの明るいベージュ色をしている。だからミラノのようにダークグレーやミッドナイトネイビーのスーツばかり着ていると、なんとも浮き立って見えてしまう。

バッグも靴もそうだ。クラシックなものが求められるにも関わらず、飾り気のない黒のストレートチップや重厚なフラップのブリーフケースでは「ロンドン帰りで英語訛りのイタリア語を喋るいけすかない奴」と思われてしまう。

だから彼らにはベージュやミディアムグレー、ストライプのスーツをエレガントに着こなす能力が備わっている。そして仕立て職人も靴工房も、バッグ工房も自分達に何が求められているかをよく理解している。

そう、この壮大な前置きを経て紹介するのはやっぱりAUGUSTO ROMAである。アウグストはそういった工房の一つであり、この奇想画のようなローマ的エレガンスの世界を体現したブランドだ。

AUGUSTO OUTLET SALE

とはいえ退屈な商品説明を繰り返すつもりはないから、安心していただきたい。当店で紹介するからには勿論……非常に魅惑的なアウトレット品である。

NAVONA CLASSICA (NERO ITALIA)

さて、まずはNAVONA CLASSICAだ。

アウグストのナヴォナは、公式オンラインストアでも3ヶ月以上待ちとなっている人気商品だが、このナヴォナ・クラシカは個人的にはそれを上回る魅力のモデルだ。

美しくクラシカルな外観はそのままに、中仕切りを無くしてトートバッグのように使えるモデルだ。アウグストのバッグは本革スエードの裏地を使用していることもあり、通常のナヴォナとクラシカでは軽さも断然異なる。

そのナヴォナ・クラシカは公式ではスムースレザー(カーフ)だけの展開となっているが、こちらは試験的に当店がオーダーした通常のシュリンクレザー TRAJANのモデルだ。柔らかくラグジュアリーな質感だが傷に強く、ある程度の水やアルコールにも耐性がある。

色はNERO ITALIA=ブラック。ナヴォナ・クラシカの洒脱で少しカジュアルな要素を、シックな仕上げでエレガントに昇華している。(そういう意味では、実にローマ的だ)

今後、通常のナヴォナがセールになることはもう無いだろう。このナヴォナ・クラシカもまた最後のチャンスかもしれない。展示品入れ替えのアウトレット価格だ。

NAVONA CLASSICA – NERO ITALIA 1点 定価242,000円 → アウトレット価格 188,000円(税込)

TRIONFAL LONG & COMPACT

ローマについて語るついでに、この財布について改めて解説しておこう。

TRIONFALのアイコンは明らかに、この特徴的なモチーフの金具だ。これは職人によって一つ一つ切削加工で作られ、磨かれ、そして仕上げられるという、まるで宝飾品のように手間のかかった金具だ。

AUGUSTOのAのモチーフだと思われがちだが、実際にはL’arco Romano(ローマの凱旋門)という立派な名前がついている。もっと正確に言えばコンスタンティヌスの凱旋門である。

この凱旋門の内側のアーチ部分を見れば、この金具が明らかにこのモチーフに基づいていることが一眼でわかる。(私が惚れ込んだのは、まさにこの点である)

その視点をもって改めてこのウォレットを見ると、どうだろう。クラシックなレザーの長財布と金具のモチーフが、まるでローマの街並みとそこを歩くエレガントな装いの紳士の組み合わせのように見えて面白い。

これも本来はセールにならない人気商品だが、そこはこのブランドを日本で初めて展開したプロフェソーレ・ランバルディの力である。詩人ゲーテの言葉を借りるなら「しめしめ」である。(いや、これはゲーテではなかったかもしれない)

とはいえ、これらの財布にはアウトレットの理由がある。というのも、この手作業で作られる金具に仕上げの揺らぎ、粗、小傷等があるからだ。

公式オンラインブティックでは販売出来ないが、イタリア的な思考に染められた私たちからすれば Una Certificazione di Artigianale(ハンドメイドの証)である。

その点をご承知の上でお問い合わせいただきたい。

TRIONFAL LONG 長財布 – BEIGE ETERNO(ベージュ), GRIGIO PISTA(グレー), BLU dei RE(ネイビー) 各1点ずつ 定価114,000円 → アウトレット価格 78,000円(税込)

TRIONFAL CROCODILE – ARDESIA(カーキグレー) 1点 定価264,000円 → アウトレット価格 150,000円(税込)

TRIONFAL COMPACT コンパクト – BEIGE ETERNO(ベージュ) 1点 定価108,000円 → アウトレット価格 78,000円(税込)

お問い合わせはコンタクトフォームから。

それではご機嫌よう。