ある日夢を見た。

それは遠く離れたロンドンの東、インド人やら若者やらがたむろする騒々しいBrick Laneブリック・レーン地区である。

埃かぶったキャンバス生地しか売っていないようなしがない生地屋に入ると、店主の親父が何やら必死に隠し事をしているようであった。

「最後にもう一度聞きますよ。紳士服向けの素晴らしい生地を、あなたは隠していますね」

私は聞いた。

すると親父は観念して、店のカウンターの奥にある扉を開いたのだ。

そしてそこでは今では手に入らないフィンテックスやウィリアムハルステッドの最高級デッドストック生地が、神々しい光を放っていたのである…。

私は次の日目を覚ますと、その生地屋を現実に探すことにした。それがデッドストック生地をめぐる冒険の始まりだったのである。

こんにちは、プロフェソーレ・ランバルディ静岡の大橋です。

なんと久しぶりの更新になってしまいました。なぜこれほどまでに執筆から遠のいて居たのか。それはどれだけ記事を書いても、一向にお小遣いがもらえないからなのです。

しかしかと言ってずっと放っておくわけにはいかない。

そこで私は観念して再度ブログを書き始めるとともに、あるものをブログ読者の皆さんに無料配布することを決定いたしました。

おだちん袋です。

このおだちん袋を受け取った読者の方は、その日の夜に財布に余った小銭を入れてご返送ください。なお、おだちんはブログの運営とモチベーションの向上に役立てられます……。

デッドストック生地とは何か?

私はよく生地を紹介するときに、デッドストックとビンテージを区別しています。最近ではごちゃ混ぜに紹介されてしまうことも多いこの二つですが、実際には違うものとして私は考えています。

ビンテージ生地は、それこそ大体30年以上の年月がたった生地です。その色柄は決して使いやすいものばかりではなく、ともすると日焼けや傷等があって使い物にならないことも多いです。

私もビンテージ生地はいくつか持っていますが、重かったり、色柄が難しかったりであまりお客様にオーダーを頂くことはそれほど多くありません。

例えばこれは現在ストックしているグレーのビンテージ生地ですが、ベネシャンの雰囲気は好みの分かれるところでしょう。(ならラインが横向きになるように仕立ててもらいます)

私の持っている生地の多くはデッドストック生地なのですね。

これらの生地は現行のバンチには載っていないものが殆どですが、作られたのは20年〜5年ほど前であることが多く、ビンテージというほどには古くありません。

バンチの切り替えや廃盤などによって、メーカーから生地が大量に売りに出されることがあります。そういうときに生地小売店や仕立て屋などが、通常よりも安い価格でそれを買い占めるのです。もちろん単に普通に仕入れた生地が余ってしまうこともあります。

それが数年、数十年とたってデッドストックとなるのです。

まずデッドストックの生地は、バンチで買ったらとんでもない値段になってしまうような上質な生地が、お手頃な値段で買えてしまうことが多いことが魅力です。

例えば現在プロフェソーレ・ランバルディ静岡にはウールカシミアやウールシルク、Super 150’sなどのデッドストックがありますが、だいたいバンチで選ぶ際の1メートルの価格で、ジャケットやスーツが作れます。

またデッドストック生地には、その時々にしか出会うことのできない希少さがあります。

こちらはホームスパンのツイードに見えますが、実はシルク混ウールの春夏生地。バンチで探してもなかなか見つからない生地でしょう。

これを逃したらもう二度と出会えないかもしれない。しかもその色合いや生地感は独特であることも少なくなく、強烈な個性に一度惹きつけられたらもう逃れられなくなるというわけです。

デッドストック生地を巡る冒険

さて、それではどうやってそういったデッドストック生地を見つけてくるのか。

探す方法はいくつかあります。まずはサルトリアに尋ねること。サルトリアはやはりいい生地を持っていることが多い。例えばサルトリア・チャルディはとても良い生地のストックを持っていて、例えばドラッパーズの素晴らしい生地を比較的手頃な値段で売ってくれたりします。

もう一つは生地屋に聞くことです。

ナポリの生地屋には何度通ったことでしょう。彼らには顔を覚えられて、一緒に揚げピッツァを食べる仲になってしまうほどです。

しかしもっと面白いものはないかと常に目を光らせる。そしてついに私は英国の生地屋に問い合わせをすることにも至ったのです。

Dear Great Fabric Shop,

(偉大な生地屋どの)

There is no hope that you sell those dead-stock fabrics in London.

(もうそれらのデッドストック生地をロンドンで売れる望みはない)

Since London is already under serious pollution of Suitsupply.

(なぜならロンドンはすでにスーツサプライによる深刻なダメージを受けているからである)

We kindly ask you to send them all to Japan ASAP.

(至急それらの生地を日本へお送りいただくよう)

Grazie,

Signor Japanese
(どうも、ミスター日本人より)

実は英国にはまだまだ、その存在を知られていない生地がたくさん眠っています。

そして私は1週間もしないうちに紹介することになるでしょう。これまで日本では手に入らなかった、美しいアイリッシュリネンの生地も…。

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