稀有の美しさを秘め、優しい心を持った女性がいたとしましょう。ある男性がその女性の魅力に気づき、勇気を出して10本の薔薇を贈りました。
するとそれを見たもう一人の男性は、自分の方が優れていることを誇示するために15本の薔薇をその女性に贈りました。
二人目の男性は女性の心を掴んだでしょうか?
いえ、女性は最初に10本の薔薇を贈った勇気ある男性を賞賛するでしょう。
私は皆さんに、この一人目の男性になっていただきたいのです。
Nicola Giordano ニコラ・ジョルダーノ。
これはサルトリア・カラッチオーロのオーナーであるニコラ・ジョルダーノが、日本では当店限定で展開するエクスクルーシブ・ブランド。
同サルトリアの中でも最高峰の技術を持つ熟練の職人のみを集め、古典的なナポリのサルトリアを模範とするフルハンドメイドで製作します。
芯地のハ刺しを含む全てにおいて手縫いを駆使し、新しく製作したより複雑かつ立体的なパターンを用いることで、往年のサルトリアを思わせる力強いシルエットを実現しています。
カッティングはニコラ・ジョルダーノ本人が行い、そのクオリティはすでに上位ラインで製作されている当店取扱いのサルトリア・カラッチオーロさえも上回るものです。
生地には日本では入手困難なEUROTEX ユーロテックスの限られたストックを始め、極上のファブリックのみを使用。
同サルトリアのマスターピースと言うべき服だけが、Nicola Giordano ニコラ・ジョルダーノの名を与えられます。
……これまでは別注という名の下に、同じブランドが沢山のショップで並べられてきました。しかしその多くが残って溢れ、今となっては本来の価値を失っています。
もともと限られた人々の楽しみであるナポリ仕立てやイタリアファッション。同じブランドを複数の店でこぞって仕入れるようになったら、数が増え過ぎて価値が下がっていくことは明白です。
しかし「他で売れているからうちでも」という安直な発想をしてしまった。皆がこぞって15本の薔薇を贈ったというわけです。そしてそれが、現在の鬱蒼とした状況を作り出したのです。
必要なのはブランドネームでも別注でもありません。開拓と挑戦、そして継続的な信頼関係なのです。
人気なブランドを沢山陳列していることよりも、「このブランドといえば、このお店」という確固たる印象こそが、イタリア服を扱うショップに必要なものではないでしょうか。
まだサルトリア・カラッチオーロが今ほど知られていなかった頃、当店はニコラ・ジョルダーノとの手探りのコラボレーションのもとブランド日本初上陸を果たしました。
それからというものオーナーのニコラ・ジョルダーノとは素晴らしい信頼関係を気づき、彼は最初の開拓者である当店を常に尊重してくれています。
この当店限定のブランド Nicola Giordano ニコラ・ジョルダーノは、そういう意味での彼からの贈り物と言えるでしょう。
たった一つの店舗で扱う手間の掛かるブランドであるにも関わらず、このために新たなパターンを引き、さらに自身の名前を与えてくれたのですから……。
さて、余談が長くなりましたがNicola Giordano ニコラ・ジョルダーノの服とその意味についての説明はこれで十分。
あとはこの美しい服に「10本の薔薇を贈る一人目の男性」を、楽しみに待つ事と致しましょう。
ニコラ・ジョルダーノの既製服を含むProfessore Rambaldi 2021春夏コレクションは、明後日3月20日の夜からスタートです。
気になった方は是非ご来店いただき、袖を通してご体感くださいませ。