美しいブルーについての話は、何度してもしたりないようだ。
しかし今回の二つの生地に関して言えば、一体どれほど私が語る必要があるだろうか?と私は疑問に思ったのであった。なぜなら写真を一枚用意すれば、その美しさは語り尽くされてしまうからだ。
というわけで二つの生地というよりは、深いブルーの話をしよう。それもとびきりエレガントで、ノーブルな、すなわち高貴なブルーの話だ。
(このあっさりとした書き出しから、普段は懐疑的なブログ読者も、うっかり最後までこのブログを読み切ってしまうことだろう。心配ない。最後にはしっかりコンタクトフォームへのリンクが用意されている……)
①Blu Sera(売り切れ)
イタリア語で言うところのBlu(ブルー)は、一般的にネイビーのことを指す。しかしその色の幅広さは特筆すべきものだ。Blu Chiaroといえば殆どAzzuro(アッズーロ)すなわち水色のような青のことを指すし、Blu Mezzanotteは黒く輝くミッドナイトネイビーを指す。
この生地は言うなればBlu Sera(ブルー・セラ)つまり夕闇の青だ。美しく沈んだブルーだが、ダークネイビーというほど濃くはない。気品と色気を兼ね備えた、イタリアの至宝……ヴィンテージ・フェラーリの色である。
そして夕暮れ後しばらくした後の空のように、まだかすかに明るく、ぼんやりと青い。なんと美しい色味だろう。
この生地はHarrison’s of Edinburghのウーステッドだ。370g/mといかにも英国的なしっかりとした目付けと強さ、そして夕方の地中海のような美しく上品な光沢を持つ。
このような色の着こなしは、実に面白い。スーツやジャケットそのものが主張しすぎないおかげで、シャツや靴、小物の組み合わせでいくらでも雰囲気を変えられる。
白いシャツとの着こなしは実にコンサバティブで、黒靴がよく似合う。非常に堅いビジネスシーンでもまず問題ないはずだ。
青みの強いネイビーにストライプ柄シャツを合わせると遊び心が強くなりがちだが、Blu Seraと組み合わせればむしろ知的な印象である。
面白いのはイエロー系との組み合わせだ。俄然色気が増し、カジュアルやパーティで華やぐ着こなしになる。まるで夕闇のイタリアの街並みに、優雅な街灯がともる瞬間のようだ。
私ならば美しいシングルのスーツに仕立て、水牛か黒蝶貝のボタンをつけるだろう。着こなしは単純明快…….ダークブラウンの靴にオフホワイトの輝かしいコットンシャツだ。
②Blu Inglese(売り切れ)
はじめにことわっておくが、これは Blu Mediterraneo(ブルー・メディテラネオ)と言われるような地中海の青ではない。由緒正しきBlu Inglese(ブルー・イングレーゼ)すなわち英国の青だ。
この青に色気はない。どちらかというと格式高い色だ。ウェッジウッドの陶器に出てくるような青、ユニオンジャックの青。これは今よりも深い色味だったTraditional Royal Blue(トラディショナル・ロイヤルブルー)に相当する色である。その定義は「深く、鮮やかな青」だ。
さて、こういう英国的な青に似合うのは、ゴールドと相場が決まっている。となれば答えはもう分かるだろう。ブレザーだ。
ちなみにこの生地は(気が遠くなるほど古い)ビンテージだ。40年以上も前のウールカシミアである。正直に言おう。今まで出会ったウーステッドのウールカシミアの中で、一番質感の良い生地だ。
これほどまでにしっとりと目付けが良く、それでいて滑らかなカシミアを感じる生地は他に見たことがない。あたかも平凡なフリをしている神童のようだ。生地棚に紛れ込んでいても絶対気づかない鈍いカシミアの光を放ちながら、ブレザーとして生まれ変わるのを待っている。
これで作るブレザーは間違いなく、マスターピースだ。ビンテージらしい重厚感と、しなやかな手触りと光沢。美しいドレープを描くだろう。そして着込んで10年経っても、そのドレープ感を保っているはずだ。
Blu Nobile 高貴なブルーの小噺
さて、勿論この稚拙な小噺もキャンペーンである。
一月中旬を利用してすっかり「正月休み」を堪能した店主が、リアルにブルーな特別価格でMTMを…..それも仮縫い付きのUnlimited MTMを提供しようという試みである。
①Blu Sera
Sartoria Caracciolo MTM スーツ(仮縫いオプション付き)通常価格 357,500円 → 売り切れ
②Blu Inglese
Sartoria Caracciolo MTM ブレザー or ジャケット(仮縫いオプション付き)通常価格 305,800円 → 売り切れ
各1着のみ、先着順。
※その他のサルトリアも特別価格でお仕立て可能。
お問い合わせはコンタクトフォームから。
それでは、ご機嫌よう!