Guanaco 最初で最後のピュア・グアナコ(売切れ)

日本語というものは奥深いもので、こんなブログを何年書き続けても表現が品切れになるということはない。「前代未聞の」とか「唯一無二の」とか実に大袈裟でセンセーショナルな書き出しを、私は酒に酔いながらいつも思い浮かべているのだから。

しかしこの生地に関しては……この二着分の生地に関しては、どうしてかこんなにも凡庸なタイトルを付けるしかない。なぜならこれは人生において殆どの人が触れることはおろか、見たこともない代物「100%グアナコ」だからだ。

PURE GUANACO

グアナコと並ぶ希少な素材と言えば、ビキューナがある。

ビキューナはラグジュアリーブランドに掛かれば、10%混紡のジャケットでも150万円は下らない超高級素材だ。ビキューナ100のコートに至っては、500万円という金額が付くこともある。(現在の物価高を考えれば、それ以上になっていてもなんら不思議はないだろう)

しかしビキューナはその価値から随分昔から保護され、特にロロピアーナによってしっかりと生産をサポートされている背景がある。だから高価ではあるが、逆に言えばお金を払いさえすえば色々なブランドで手にいれることができる。

一方グアナコはビキューナ同様の毛質を持つが、知名度でわずかに劣る。そのため生息数はビキューナよりも多いが、生地を見かけることが少ない。

ピュア・グアナコというものは、幻だ。

そもそも家畜化されていないこの動物から年間に取られる毛の収穫量は、数十トンと言われている。それにグアナコというものはあまりにも繊細で、糸にするのが難しい。普通なメーカーでは織り上げることすらできない。世界的に見ても、ビキューナ100%よりもグアナコ100%の方が少ないのにはこの辺りの事情もある。

しかし今回紹介しているこの生地は、正真正銘のピュア・グアナコだ。

保証されている。なぜならこれは、あのErmenegildo Zegna エルメネジルド・ゼニアが織った490g/mの100%グアナコで、ゼニアのCEOが足繁く(そしてお忍びで)通うサルトリア・ピッチリーロが、彼から直々に手に入れた生地だからだ…….。

Campagne Beige & Golden Camel

全く相変わらず「指輪物語」の原作よりも長い前置きだが、つまり今ここで話している生地は、ゼニアが織った正真正銘のピュアグアナコである。

ロロピアーナのビキューナ100%だったらコートで500万円は下らないが、あのエルメネジルド・ゼニアでグアナコを仕立てたって、差額はカプチーノ一杯分くらいのものだろう。

そんなものがサルトリア・ピッチリーロの工房にあるのだから面白い。しかも、美しいシャンパンベージュとゴールデンキャメルの二色だ。

その質感と言ったら、ユニコーンだと不死鳥だとか、そういう幻の世界の動物を連れてきてその獣毛で織り上げたような柔らかさだ。カシミアやシルクの最も繊細なものをかき集めて生地にしたら、こんな風合いになるだろうか?いや、これは無理かもしれない。

しかし手触りだけじゃない。今回のグアナコは色がどちらも色が良い。

優雅なシャンパンベージュは圧倒的にゴージャスなコートになるだろう。ネイビーの上に羽織ったとき、これほどに映えるコートがあるだろうか。あくまでクラシックなベージュカラーの範疇だが、その中で最も華やかな存在だ。何しろ光り輝くようなグアナコなのだから。

一方ゴールデンキャメルは、世界で最もラグジュアリーな「デニムの上に羽織ることのできる」コートになるだろう。オフホワイトのパンツでも良い。タートルネックでグアナコのコートなんて、まるで王侯貴族のような響である。逆にグレーのストライプスーツでかっちり決めた上に羽織っても最高だ。ブラウンのダブルのスーツに合わせる、なんていう手もある。

ピュア・グアナコのコートをこのブログで紹介するのは、後にも先にもこれで最後だ(誓って、である。なぜなら私たちは今ある種の“幻”について話しているのだから)。

だが人生とは不可思議なものだ。そんな千載一遇のチャンスなのに、今この瞬間は「二色」あって好きな色を選べるのだから。

それにせっかく幻のような生地だから、幻のようなキャンペーン価格にしておこう。どうせもう二度とピュアグアナコを扱うことはないのだから、どんな恐ろしい特別価格の前例を作ったって私の知ったことではないのだ……。

Ermenegildo Zegna 490g/m Pure Guanaco

Sartoria Piccirillo コート 通常価格 2,120,000円 → 特別価格 840,000円(税込924,000円)

CHAMPAGNE BEIGE(売切れ)
GOLDEN CAMEL(売切れ)

※ポロコートは10%UP

各色1着ずつのみ。

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