都会の喧騒から離れて、ゆっくりとした休日を過ごしたい!

日本の毎日に疲れきってそんな風に思ったあなたが。疲れのあまりうっかりしていて、イタリアという騒がしい国の中でも混沌としたナポリを旅行先に選んでしまったならば。

きっと最初は激しく後悔することでしょう。

しかし数日間をナポリで過ごして、ローマ(あるいはロンドン、ミュンヘンでも良いでしょう)に移動した後、あなたは必ずやこう思うのです。

ナポリはなんて素敵なところだったんだ、と。

そしてまず思い出すのは他でもない、ナポリの素晴らしいバルです。

ナポリ人にとってのバルの時間

朝はカップチーノも良いでしょう。

ナポリの人々は、彼らの話す素晴らしい英語表現を借りるのであれば「tons of espresso」を1日に飲みます。海を飲み込むごとくに飲むということですね。

そもそもエスプレッソは小さな小さなデミタスカップで出てくるものですから、量はそれほど多くないでしょうが、そうは言っても本当に事あるごとに飲むのです。

「こんにちは」と人に会う前に景気付けに1杯。人に会ったら「ようこそ、とりあえずコーヒー(エスプレッソの意)でもどう?」「いいね、もらうよ」と1杯。1時間仕事の話をしたら「休憩しよう」と1杯。帰るときに「バルでちょっとやってから帰ろう」と1杯。

2時間そこそこの間で4杯。

これはいささか誇張かと思われそうですが、実にありえない話ではございません。1日平均して5〜10杯は飲んでいると思われます。

彼らはコーヒーの時間が大好きなのです。

ちなみに日本ではカフェで時間を過ごすために飲み物を買う、というスタンスが強く、コーヒーやフードの味よりも雰囲気や、いやすさが重視されることが多いですが、彼らナポレターノはエスプレッソの味にとことんうるさい。

バル(彼らにとってのカフェ)はあくまでエスプレッソを出す店であり、その味がダメであればいくら内装がルイ14世のお屋敷のようにゴージャスでも、ダメというわけなのです。

バルで、ナポレターノを気取ろう

さて、そんなナポリのバル文化。実際に体験したいとは思いませんか?

ナポリを本当に楽しみたいと思ったら、彼らのするようにバルを利用してみることです。

まずはバルのカウンターに行って、エスプレッソを頼む。これは立ち飲み形式になりまして、オーダーが入るとバリスタがおもむろにエスプレッソの準備を始めます。

そのとき、あなたはじっとそれを待っていてはいけません。エスプレッソは抽出してすぐが一番美味しく、以降味は劣化していきます。そのためあなたはシュガーの包みを手に取り、それを破ってエスプレッソが出たらすぐにでも投入できるよう手元で準備しておくのです。

冗談のように思えますが、私の知るナポレターノ達の10人中8人はこのようにエスプレッソを待ちます。

そしてエスプレッソが出たら、砂糖を投入しスプーンでそこそこにかき混ぜ、クイッと一口か二口で飲む。

口の中で広がる濃厚な豆の香り、不均等に混ざった砂糖の甘みと苦味のマリアージュ、そして幻想的なチョコレートのような後味を楽しんで。香りが消えてきたら、一緒に出されるチェイサーの炭酸水(又は水)で口を休める。

これで終わりです。

せっかくカフェに行くのに、10秒で飲み物終わっちゃうじゃん!と不満に思われる方もいらっしゃるでしょう。なに構いませんよシニョーラ、彼らは「美味しいもの」を知っていて、その「美味しいものの美味しい楽しみ方」を知っているのです。

だから抽出したてが一番美味しいエスプレッソはダラダラと飲まず、一気に飲む。長居したければその後、いくらでも長居すれば良いのです。

日本の文化からすると違和感があるかもしれません。しかしアメリカ式のカフェで大きいサイズのコーヒーを頼んで、1時間の滞在の後に、残った冷たくまずいコーヒーを(苦虫を噛んだような顔で)飲み干すよりも、理にかなったスタイルだと私は思います。

「楽しみ方」を知っているイタリア人、中でもナポレターノの考え方をちょっと取り入れると、人生がちょっと豊かになるかもしれませんね。

まとめ

ナポリのバルの文化は、最初は少し戸惑う部分も多いでしょう。

しかし3回、5回と利用しているうちにどんどん慣れていき、ナポリに1週間も滞在すればバル無しには生活できなくなってきます。

そしてイタリアから別の国に移動したり、日本に戻ってきたりすると思うわけです。

「バルはどこだ!?」

アメリカ式のカフェや自称イタリアンバル(実際には創作イタリア料理店)でメニューにエスプレッソを探しても無駄ですよ。

あなたはナポリで世界一のエスプレッソを、しかも最も美味しい飲み方で、体験してきてしまったのだから……。

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