もう随分長いこと皆様にご紹介しているサルトリア・ピッチリーロ。
ジャンニ・ピッチリーロは23歳の時から自分のサルトリアを持ち、愛すべきマエストロとして30年以上地元客に愛されてきました。
1960年代から全く変わらない仕立て方を続けるジャンニ・ピッチリーロは、ナポリでも稀有の職人です。裏地のポケット部分などほんの一部にしかミシンを使わず、ほぼ全てを手縫いでこなす、完全なフルハンドメイド。
そして何よりもこの天才的な職人であるジャンニが、今なお自分の手で仕立てるのですから驚きです。
例えばナポリの有名なサルトリアに飛び込みで仕立てに行ったとしましょう。伝説的なマエストロ本人が微笑みながら採寸してくれますが、その後(1)カッティング(2)仮縫い(3)納品……彼が手がけるのはこれだけです。全体の20%とでもしましょう。
それに対し、ジャンニ・ピッチリーロは天才的なマエストロであるにも関わらず、いまだに80%以上を自分でやっているのです。
残りの20%(ハ刺しやステッチ等)は誰がやっているかって?
午前中にせかせかとシャツを作ってひと段落した弟のマウリツィオがやっているのです。こんな素敵なことがあるでしょうか。
プロフェソーレ・ランバルディ静岡は全世界で最初に……そしておそらくは唯一、サルトリア・ピッチリーロを扱う店舗です。独占契約を結んでいますから、今後もそうでしょう。へへへ。
サルトリア・ピッチリーロ Capo Lavoro ポロコート
イタリアでは、最高傑作のことをCapo Lavoroと言います。
これは作品の頂点という意味。この美しいポロコートを一言で表すのにぴったりの言葉でしょう。
サルトリア・ピッチリーロのポロコートは、もちろんクラシックなダブルもできますが、こんなシングルのモデルが実に素晴らしい。堂々としつつも洗練されたラインを描くラペルは、誰が見てもわかる特別感に溢れています。
袖付けは、1960年代から変わらない伝統的なナポリのもの。雨降らしですがあくまでやりすぎることなく、エレガントな雰囲気です。
ディテールにも、ジャンニの美意識が見て取れます。ボタンのついたターンナップカフ。フラップ付きのパッチポケット。全てにおいて形が絶妙なバランスの上に成り立っています。
ポロコートならではの後ろ姿。ボタン止めのベルトはクラシカルで息をのむほど美しいですね。またプリーツ部分にも全て手縫いステッチが入り、内部のボタンホールも緻密な手縫いです。
もちろん前身頃のボタンホールの巧緻な表情についても、記しておく必要がありますね。
60歳を超える凄腕の女性職人が縫うボタンホールです。ジャンニ曰く「自分で縫うより、このセニョーラが縫った方が綺麗なんだ。それでサルトが皆んなこぞってこのセニョーラのご機嫌をとるのさ。それに仕立て屋よりもボタン縫いの女性方のほうが、よっぽど儲かってるのさ!」
生地は実にエレガントなシャンパンベージュ。極上の、そして極厚のピュアカシミアです。
最高の生地を存分な手縫いで仕上げたコート。しばらくの間当店でディスプレイを務めておりましたが、26日からのセールに向けてオンラインストアに掲載致します。
もちろんあまりにも手間のかかった一着ですので、荒っぽいディスカウントは出来ないことでしょう。
しかし定価でも魅惑のポロコートがセールになるのです。ぜひご覧くださいませ。