Luigi Grimaldi ルイジ・グリマルディ – ナポリ仕立てが生み出した既製服

こんにちは、プロフェソーレ・ランバルディ静岡の大橋です。

今日は皆さんに、すでに一度紹介させていただいたことのあるブランドをあらためてご紹介させていただこうと思います。

Luigi Grimaldi ルイジ・グリマルディ。

このブランドとの出会いは本当に偶然でしたし、今でもまだ入荷している数だけ見れば、お世辞にも本格的に取り扱いをしているとは言えない状態です。

しかしそれでいて、私のこのブランドにかける思いは並大抵のものではないのです。

ナポリ仕立てとナポリ製RTWの違い

このウェブマガジンでも何度か書いているように、本物のナポリ仕立てとナポリで作られた服とではやはり意味が違います。

本物のナポリ仕立てというものは、何十年も仕立て続けている独自の技術を持った職人が、オーダーする人の体に合わせて作り上げていくものです。

そこには数々の工夫があり、また言葉では説明しきれないような微妙なテクニックが星の数ほど生きています。手間の掛け方も、やはり本物のサルトリア仕立てでは倍以上になります。

それに対して今日本で大人気のナポリ製のRTW レディ・トゥ・ウェアは、もう少し違うものです。

日本ではたくさんのブランドが「ナポリ仕立て」と呼ばれ売られていますが、ナポリの小さな仕立て屋で作られているような服はそれほど多くありません。ナポリ仕立ての技術や仕様を取り入れながら、比較的大きなファクトリーで、流れ作業で作られていくことが多いからです。

つまり厳密に言うとそれは、「既製服にナポリ仕立てのニュアンスを加えたもの」なのですね。

しかしこのLuigi Grimaldi ルイジ・グリマルディを初めて見たとき、私は普通の既製服とは全く異なるもの、いわばサルトリア・ナポレターナの仕立てを感じたのです。

それは私が初めて出会った、「本物のナポリ仕立てを既製服へとアレンジした服」でした。

Luigi Grimaldi ルイジ・グリマルディ

Luigi Grimaldi ルイジ・グリマルディのスーツやジャケットは、あくまでセミハンドメイドの既製服です。もちろんミシンも使用していますし、ナポリ仕立てに比べたらその割合は高いと言えます。

しかしそうであるにも関わらず、このLuigi Grimaldi ルイジ・グリマルディのジャケットを着たときには何よりも「ナポリ仕立て」を感じるのです。

もちろんマニカ・カミーチャはエレガントに波打つ非常にレベルの高い仕上がりですし、ダーツも裾まで切っておりいかにもナポリらしい裾のまとまりを演出しています。

ですが、それがこのジャケットの全てではありません。

美しいカッティングが生み出す無駄のないシルエット、肩を包み込むようにフィットする後ろ姿。これは店頭で試着された方が皆、声をあげて驚く部分です。誰の肩にもビスポークしたようにフィットし、そこを美しく雨降らしで飾る。もちろん着心地には一切ストレスがありません。

また襟はエレガントにのぼり、シャツの襟を立体的に支えます。フロントカーブの角度は完璧なスマートさで、ラペルや裾など各所のエッジの処理は、サルトリアの仕立てのように繊細です(普通のマシンメイドのジャケットだとしばしば、これらの部分が少し厚く、野暮ったくなってしまうものです)。

こういった、いわば基本的な仕立てが異様なほどに高いレベルでこなされている。その技術はただ単に優れているだけでなく、明らかにナポリ仕立てというベースで培われた独特の技術なのです。

ここが一見セミハンドメイドのブランドでありながら、なにかサルトリア・ナポレターナに近いものを感じさせるLuigi Grimaldi ルイジ・グリマルディの魅力であり、ミステリアスな部分なのです。

ナポリ仕立ては仕様で捉えるものではない、なんて時より私は書いていますが、まさにそれを体現しているのがLuigi Grimaldi ルイジ・グリマルディなのかもしれません。

贅沢な生地は、彼らの莫大なストックから

そしてもう一つ、Luigi Grimaldi ルイジ・グリマルディを語るうえで忘れてはならないのが、その素晴らしい生地のストックです。

普通はビスポークにしか使用しないような極上のファブリック、Holland & Sherry ホーランド・シェリーなどを贅沢にも既製服に使っているのは、彼ら以外にそう見られません。

今回仕入れてきたジャケットもDRAPERSの極上ウール生地を贅沢に使用しており、まるでビスポークのような雰囲気を持っています。

しかしなぜ、彼らはそれほどまでに贅沢な生地を既製服に使用できるのか?

皆さんもご存知かもしれませんが、例えばHolland & Sherry ホーランド&シェリーは、生地を既製服のために販売しないことで有名です。彼らは基本的にビスポーク用の生地を、一着分ずつ販売するのですね。これは生地ブランドとしての価値を維持する意味もあります。

それなのに、Luigi Grimaldi ルイジ・グリマルディがそのような貴重な生地を既製服に使用できるのは、実は彼らには莫大なストック生地があるのです。

ナポリにはLuigi Grimaldi ルイジ・グリマルディのアトリエがありますが、一般公開されていないその薄暗い二階には、五万というほどの極上生地が大量にストックされているのです。

そこにはビンテージもあり、新しいコレクションもある。しかしいずれにしてもそのストックがあるからこそ、販売価格からしたらありえないほどの極上生地を使用できるのです。

Luigi Grimaldi Napoli ルイジ・グリマルディ

プロフェソーレ・ランバルディ静岡では、ほんのわずかですがLuigi Grimaldi ルイジ・グリマルディのジャケットを取り扱っております。

オンラインストアはこちら

皆さんもぜひこの稀有なブランドの持つ魔力を、体験してみてくださいね。

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