これは装い方というよりも作り手の物語であり、職人と顧客だけでなく、職人と街、顧客と場所、土地柄と感性など様々なものが複雑に交錯して出来上がった一つの「継続する遺産」なのです。

なぜナポリ仕立てはファッションではなく、文化なのか

Bespoke & Experiences in Honor of His Elegance
これは装い方というよりも作り手の物語であり、職人と顧客だけでなく、職人と街、顧客と場所、土地柄と感性など様々なものが複雑に交錯して出来上がった一つの「継続する遺産」なのです。
この度JR新橋駅から徒歩5分の汐留イタリア街に姉妹店『アンニ・セッサンタ』がオープンすることによって、静岡までお越しいただくのが難しい方にも本物のナポリ仕立てをご体験いただけるようになります。
いつこのジャケットを着てそこを訪れても、ジャンニ・ピッチリーロは服を仕立てている。そんな安心感こそが、ジャンニの作るジャケットに私が妙な愛着を持ってしまう理由かもしれません。
ナポリでも特に貴族的で優雅な街、栄華を誇った時代の名残を持つメルジェリーナ地区にアトリエを構えるサルトリア・ボルボニカ。
現代にあってもなお世界を魅了するナポリ、その文化の原点とも言えるブルボン王朝時代の情景を、1960年代のビンテージスタイルを通して表現するサルトリアとして、4人の熟練したサルト達を中心にエレガントかつハイエンドな服を作り上げています。
ボリューム感のあるショルダーから胸にかけてのライン、そしてドラマチックなウエストの絞り込み。実にエレガントなラペルの返りとゴージの納まり、全てが体を包み込んでくれます。
今回プロフェソーレ・ランバルディ静岡では、これほどまでに手間のかかったハンドメイドスーツでありながら、MTM(サイズゲージを使用した採寸)とすることで、手の届く値段を実現いたしました。
ナポリはナポリ、常にそのルールに従って生きており、自分の思うようにいかないことは驚くほど多いが、さして気にしていない。その代わりに生活の一瞬一瞬には決して妥協しない。
ヴェスビオ火山や地中海といった大自然を常に目にしながら生活している彼らは、ある意味人生の儚さを知っているように見えます。
しかしあるとき、ナポリにはサルトリアの奥深い文化があり、そこには星の数ほどの職人たちと、名高い工房、そしてそれを愛する幾千もの洒落者たちがいることを知りました。
しかしこの偏屈なイタリアの洋服店を始めて約1年、幾度となくナポリに通って私は初めて、「本場イタリア風とは何か」ということに気が付いた。
いくら仕立て方を真似たり、そのディテールを取りいれたり、またメイド・イン・ナポリの事実を作り上げたりしても、そこに「ああ、これこそナポリ仕立てだ」と感じるような文化性と空気をまとっていなければ、それはナポリ仕立てではないのです。