こんにちは、プロフェソーレ・ランバルディ静岡の大橋です。
最近は自宅にこもって仕事をしていることもあり、今回のセールアイテムのご紹介も自宅で行うことになりました。
そしてこのイメージ写真を掲載するにあたっては素晴らしい商品だけでなく、英国アンティーク・ディーラーで見つけてきた1900年代初頭のくたびれた家具と、ロンドンやローマで拾ってきた一向に役に立たない燭台を皆さんに紹介することになったのです。
(そもそもイギリスのろうそくというのは、火を灯せばごんごんと燃え、あっというまに部屋が真っ黒のすすだらけになるのです。昔は部屋中がさぞ煙たかったことでしょう。)
ところで私の自宅というのは、親切なビンテージカーコレクターから借りている随分と広い一軒家なのです。
しかし猫足のコンソールや、兄の家から無断で拝借した(やや色が薄めの)モネの絵(右)はあっても、テレビも繋がっておらず、レコードプレーヤーしかないという実に間抜けな家なのですな。
寒い冬の日には屋根裏部屋で、もう灯油がなくなって火が消えかけた石油ストーブの前で暖をとりながら、オンラインショップで商品が売れるのを待ちわびている。
そして商品が売れれば灯油とコーヒー豆を買いに行って、すっかり暖かくなったストーブの前に座って、淹れたてのコーヒーを飲むというわけなのです。
ああ、この薪がすっかりなくなったら、ついにあの親愛なる外套を質に入れなければならないところであった!しかし見よ、春がやってきたのだ。暖かな日差しが差し込んで、ちっぽけな暖炉が馬鹿馬鹿しく思えるほどだ。
さて、そういうわけでオンラインストアに特別なセールアイテム掲載のご案内です。
まずは目玉商品から。
1. Sartoria Caracciolo フルハンドメイド サンプル品ジャケット
サルトリア・カラッチオーロ(サルトリア・カラッチョロ)というブランドを日本でご紹介し始めてもうずいぶんと時間が立ちました。おかげさまでこのブランドは実力派ファクトリーブランドとして、順調に知名度を上げています。他店でも取り扱いが始まり、このブランドの服を見たことのある人は多いでしょう。
しかし個人的にはこの「実力」について、少し疑問を持たざるをえないのです。
サルトリア・カラッチオーロはその価格とクオリティの両立を実現するために、ハンドメイドでありながら各部を効率化して仕立てています。
そうして「この値段帯ではありえない品質」を生み出しています。
これが優れた実力派ファクトリーブランドと言われる所以です。
でも私の考えでは、彼らの実力、本領を発揮した既製服を売っている店は存在しません。基本的には「原価を抑えつつつ、値段以上の品質を」というイメージで製作されています。
では値段を気にせず、最も高いクオリティを追求したら?
そこで生まれたのがこのサンプル ジャケットなのです。芯地のハ刺しから始まり、いたるところをハンドメイドで仕立てたこのジャケットは、伝統的なサルトリアでさえも賞賛するほど、手間のかかった作品です。
今回ご紹介するのは二着。
どちらもDRAPERSのビンテージ、しかも最高級ウーステッドカシミア100%の大変希少な生地を使用しており、フルハンドメイドの良さを存分にいかしています。
まずはこちら。
こちらは実にエレガントな色合いのヘリンボーン生地を使用したジャケット。ウーステッドカシミアなので厚すぎず、今から〜春先の着こなしにぴったりの風合いです。
生地はカシミアらしくふんわりと柔らかいにも関わらず、ウーステッドなのでコシが強く、着込んでいくことで変化が楽しめそうです。
一見するとカシミアシルクにしか見えないような深い光沢と、デニムやカジュアルなトラウザーにも相性の良い色合いで、とてもイタリア的な雰囲気です。
そして何より、袖付けの美しさは奇跡的です。
ヘリンボーンのおかげでその立体感が強調され、ビスポーク的な雰囲気さえ感じます。
次はこちら。
こちらもドラッパーズのウーステッドカシミアなので、これからの季節にぴったりな合物です。
とても柔らかい生地はキートンを思わせますが、注目すべきはその生地の絶妙な織りでしょう。明るめのブラウンに濃い織り糸で立体感がつけられており、光があたると一瞬にして生地全体が表情を変えます。
こちらもシルクのような輝きがありますが、その手触りはグアナコやビキューナを思わせるほど柔らかく、ふんわりと手からすべり落ちるようなジャケットです。
(まったく、どうして自分のジャケットを仕立てずにサンプル品にしてしまったのか、今でも理解ができません。どうもナポリにいると陽気になって「良いじゃん、作っちゃえ」となりがちですな。)
2. チャルディ ビンテージ生地 サンプルスーツ
さて次にご紹介するのは、サルトリア・チャルディという言葉を生地にして縫い上げたようなスーツ。
ヘリンボーンのビンテージ生地を使用し、チャルディのあのちっぽけな工房で、ビスポーク工程を経て作られたサンプルスーツです。
グレーの色合いといい、幅広な柄といい実にチャルディらしい雰囲気です。幅広で力強いラペルと、堂々とした立体的なドレープ。英国的とも言えるこの美しさは、彼らしか作ることができません。
この袖山の雰囲気は、サルトリア・チャルディの仕立ての良さを物語ります。
ぐっと前方に押し出された肩は着心地をよくし、カーブを描きながら上っていくシームラインと袖付けは、厚手のビンテージ生地にも関わらず鋭く端正な仕上がり。
長時間にわたる丁寧なアイロンワークだけが生み出すことのできる、ビスポーク特有の雰囲気です。
トラウザーも勿論、ビスポーク同様の商品です。裏地の縫い付けを含めてほとんど全てが丁寧な手縫いで仕上げられており、その履き心地は実に柔らかい。
また今回のサンプルスーツは生地感も考慮してややゆったりとしたシルエットで仕上げています。自分の好きなシルエットに直すことができますので、多くの人にご検討いただける一着でしょう。
今回はそのほかにもいくつかの商品をオンラインストアに掲載予定です。
公開は本日22時を予定しております。
ぜひ、ご覧くださいませ。
いつもブログ拝見しています。気になることがあるのですが、ダブルブレステッドのジャケットやスーツをお召しにならないのはナポリではあまり着られないからでしょうか?それともシングルがお好みだからでしょうか?ご返答頂けたら嬉しいです。