こんばんは、プロフェソーレ・ランバルディ静岡の大橋です。
今日は私がサルトリア・カラッチオーロ(またはサルトリア・カラッチョロとも)で仕立てたグレンチェックのジャケットをご紹介いたしましましょう。
散々キャンペーンやセールの案内ばかり書いており、ついにブログを書いたかと思えば自分のジャケットの自慢というわけですが、これには深い訳があるのです。
…すなわち、とても良く仕上がったのですな。
メディチ家のロレンツォだって、せっかくミケランジェロに作らせた彫刻を誰にも見せずにしまっておけと言われたら、それは堪えがたいもどかしさに芸術の庇護どころではなくなってしまうでしょう。
サルトリア・カラッチオーロ。
次世代のナポリ仕立てを担うこのサルトリアは、最初に私が出会ったときからどんどん進歩しています。
当店のお客さんのリクエストや、私自身の考えを伝え、何時間もかけてオーナーのニコラ・ジョルダーノと話し合い、そして実現した一つ一つの改善が意味を成して、本当に美しいジャケットを作り上げてくれたのです。
今回のジャケットは、ナポリの小さな生地店で発掘したカシミアシルクのグレンチェック柄生地。
その手触りといったらそれはもう、フレデリック・レイトンの絵画に出てくる《海辺のパティオでのうたたね寝》のような危うい心地よさです。上品な光沢と、この極上の柔らかさを、最低限の芯地で端正に仕立て上げたサルトリア・カラッチョーロ(サルトリア・カラッチョロ)のジャケットは、それこそ羽のような服と言えます。
これほど柔らかくデリケートな生地ながら柄合わせは完璧、そして雨降らしは芸術的なまでに自然です。
サルトリア・カラッチオーロ(サルトリア・カラッチョロ)の特徴的な胸ポケットであるタスカ・ロカイユも健在です。個人的には通常あまり大きくカーブのしていない胸ポケットを好みますが、このサルトリアのデザインではむしろこちらが調和しているような気がしています。
パッチポケットのジャケットを仕立てるときには、ダブルステッチにするのがナポリでは定番です。
ちなみにボタンホールの色が濃いのはカジュアルな仕様ですね。個人的にはボタンホールの色はグレーに合わせるのが好きなのですが、ナポリ現地の人々はコントラストをつけるのが大好きです。そういうわけで彼らに決めてもらうと、グレンチェックの茶を拾ったボタンホールになりました。
全体的に自然に体に沿うフィット感に、やや中に入った肩。そこにふんわりと縫い付けられた袖。わずかにカーブするエレガントな襟と絶妙な角度のゴージがマッチして、古めかしさとモダンさを同時に感じる独特の雰囲気を醸し出しています。
今回はカミチェリア・ピッチリーロの青シャツと、サルトリア・ボルボニカのウールカシミア・デニムのトラウザーに合わせて。ライトグレーのグレンチェックの場合、トラウザーにはリジット系のデニムを持っていくと、とてもスマートに着こなすことができます。
サルトリア・カラッチオーロは現在、東京の『アンニ・セッサンタ』で主に受注しておりますが、もちろんプロフェソーレ・ランバルディ静岡でもオーダーは可能です。
それでは、ご機嫌よう。