こんにちは、プロフェソーレ・ランバルディ静岡の大橋です。

今日は久しぶりに私のコーディネートを皆さんに紹介いたしましょう。

そもそもなぜ私は同じベージュのジャケットと、このブルーのトラウザーばかりを着用しているのか。それは本物を追求するあまりに、噂に聞く「儲け」という珍しい動物にすっかり逃げられてしまって、自分の新しい服を仕立てていないからなのです。

いや、実はサルトリア・ピッチリーロでもサルトリア・チャルディでも新しいジャケットを仕立てているのですが、なんとも自分のジャケットというのは後回しになってしまって、なかなか上がってこないのですね。

そういうことで代わり映えのしない着こなしですが、私が最も気に入っているコーディネートの一つを皆さんにご紹介いたしましょう。

サルトリア・ピッチリーロのジャケットに、同サルトリアのトラウザーを合わせ、カミチェリア・ピッチリーロのシャツを合わせた着こなし。ネクタイはランバルディ夫人に頂いた教授のおさがりで、数十年も前のビンテージ・マリネッラです。

このベージュのジャケットは何度もご紹介していますが、それだけに気に入っているのですね。

普通新しいサルトリアで作る1着目は失敗することや、完璧には至らないことが多いのですが、ジャンニ・ピッチリーロの仕立てたこの初めてのスーツ(ジャケット)はむしろ、私の思う「美しいジャケット」の定義を変えてくれるほどでした。

ボリューム感のあるショルダーから胸にかけてのライン、そしてドラマチックなウエストの絞り込み。実にエレガントなラペルの返りとゴージの納まり、全てが体を包み込んでくれます。

着ていても、まるで空気の層をもう一つ重ねたように感じるだけなのです。

背幅が広く前肩な私の体型はナポリのサルトリアでも、最初から的確なフィッティングを得られることは多くありません。しかしジャンニ・ピッチリーロは体の動きや、ジャケットが体のどこを支柱にするかさえ意識して、本当に適切なカッティングをしてくれました。

サルトリア・ピッチリーロのジャケットで特に美しいのは、間違いなくこのショルダーラインでしょう。昔ながらのナポリ仕立てを感じさせる、ほんの少しだけ構築感のあるショルダー。

今流行りのアンコン、ひたひたのナポリ風ではなく、薄い芯地を用いて実に丁寧に作り上げる立体的な肩こそが、伝統的なナポリ仕立ての特徴なのですね。

サルトリア・ピッチリーロのジャケットは肩の前方に頂点があり、そこに向けてシェイプしていく独特のアームホール形状をしています。そして上品な雨降らし袖が、実にエレガントな雰囲気です。

肩のシームラインは、肩の頂点を避けるように後ろへと走ります。これは着心地を良くし、肩後方のフィット感をより良いものにしています。

胸のボリューム感もまた、サルトリア・ピッチリーロのジャケットの特徴です。

比較的余裕を持ったチェストのフィッティングですが、サルトリア・ソリートやコスタンティーノなど、いくつかのサルトリアのように縦にドレープができるほどではありません。もちろんこの辺りは好みによるものです。

少し張りのある芯地を使っていることで、このような丸みを帯びた自然な立体感になっているのかもしれません。

この立体感と着心地の柔らかさ、異なる二つを同時に実現できるのは「手作業」しかありません。

ほんのわずかに広めの肩幅、独特のアームホール、そしてチェストの立体感。

そこからウエストに流れるドラマチックなシルエットが、病みつきになります。このジャケットはあえてフロントダーツを裾まで切らなかったので、やや下が膨らむようなシルエットとなっています。

これはナポリだからどう、というようなものではなく好みの問題です。個人的には気分で選んで良いものだと思います。

どうでしょう。前回の過酷すぎるナポリ出張のおかげで、ウエスト周りがしっかりと収まるようになりましたよ。(ところでいつもナポリに行って、6kg痩せて帰ってくるのはどうしてでしょうか。)

もちろんバックスタイルの美しさも、群を抜いています。

ちなみにサルトリア・ピッチリーロのジャケットはナポリでも珍しく、シーム一つにもミシンを使っていません。普通フルハンドメイドと言われるものでもシームラインはミシンで縫って、飾りのステッチをすることがほとんどです。

しかしサルトリア・ピッチリーロでは、その点でも着心地を柔らかくするために手縫いで行なっている。皆さんに見えているのは飾りではなく、本物の縫い目としてのハンドステッチなのです。

そして喜ばしいことに、これはビスポークでもMTMでも、果ては既製服でもサルトリア・ピッチリーロのタグがつく限りは絶対に変わらないことなのです。

皆さんも是非、サルトリア・ピッチリーロのMTMをお試しくださいね。

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