Sartoria Ciardi ビスポークライン既製服 × Vintage ウーステッドカシミア

こんにちは、プロフェソーレ・ランバルディ静岡の大橋です。

今日は皆さんにとんでもないお宝をご紹介するために、朝早くから起きてコーヒーを飲んで、ゆっくりソファに座って本を読んでブログを書きたい気持ちを高めてまいりました。

ところで(早速余談ですが)私がこの仕事をしていて幸せだと感じる理由に、自分の好きな音楽を聴きながらブログを書いていられるという点が挙げられます。

仕事中はオペラとコンチェルト一辺倒だった私も、最近はキース・ジャレットの極上ピアノサウンドを聴きながらデスクに向かっています。

キース・ジャレットといえばトリオのジャズ・スタンダードも良いですが、やはりソロのコンサートが素晴らしい。

湧き出るインスピレーションが美しい和音となっていく、その過程を聴いているような気持ちになります。

キース・ジャレットのコンサートは即興演奏です。完全な無の中に生み出していくメロディが、危うさを感じさせながらも絶妙なバランスで音楽となっていき、そして消えていく。

それからまた別のインスピレーションが姿を現し、モチーフが生まれ、和音、旋律、そして最後に音楽として聴き手に感銘を残していく。

聴きながら仕事をしていると、不思議なことにその曲の切り替わりに合わせて頭の中がリフレッシュされ、新しいアイデアや言葉がどんどん出てきます。

もしテレワークで音楽聴きながら仕事ができるよ!というお客様は、ぜひお試しあれ。

さて今回は、前回の入荷でも大好評だったサルトリア・チャルディのビスポークライン 既製服の新入荷のご案内です。

しかも今回はビンテージのウーステッド・カシミア、しかもネイビー無地の極上生地を使用したハンドメイドジャケット。

これこそまさに、誰がプレイリストいや……ワードローブを作ろうとも必ずその頂点としてセレクトされる一着ではありませんか!

それにもうお気づきの方もいらっしゃるかもしれません。今回はいつものシングルブレステッドだけでなく、美しいダブルブレステッドも入荷したのです。

これほど美しければ、本来多くの言葉は必要ないでしょう。(しかしキース・ジャレットについて639文字もつらつらと書いてしまった手前、服についても語らないと体裁が取れませんな…!)

サルトリア・チャルディのダブルブレステッドは、長く堂々としたラペルが特徴的です。

潔く迷いのないラインと、端正なショルダーの組み合わせは、ナポリ的というよりはむしろ貴族的な雰囲気。

極上のウーステッドカシミアをたっぷりと贅沢に使った前身頃は、それだけでラグジュアリーな存在です。

さらに非の打ち所のない美意識で形作られる3つのポケット、精緻なボタンホールとダブルステッチが入ることによって、まるで完璧な総合芸術のような仕上がりになっています。

湾曲した肩シームラインと袖付けのギャザーは、ある意味その完璧さをあえて崩す存在かもしれません。

レナート・チャルディの言葉を借りるのであれば「外見的なL’imperfezione=不完全さ」が、他にはない魅力を生み出し、そしてジャケットを唯一無二にしているのです。

もちろんその不完全さは着心地のために考えられたものであり、この肩線が前肩を包み込むこと、そして多く取られた袖のイセ込みが腕を制約から解放すること。これはもう皆さんがご存知の通りです。

遅くなりましたが、シングルのジャケットについてもご紹介いたしましょう。

すでにこのスタイルについては語り尽くされておりますが、あえて書くのであれば、やはり高貴なシルエットです。

全てにおいて上品で、控えめであり、エレガントである様子。これはサルトリア・チャルディのジャケット以外ではなかなか感じられれないニュアンスです。

レナートが亡くなってエンツォが継承したサルトリア・チャルディには、ドイツ王子(あの有名な家のご子息)や、数多くの貴族が通っています。

そしてこの絶妙なバランス上に成り立つサルトリア・チャルディのシルエットは、彼らのような顧客とレナート、そしてエンツォ・チャルディがヨーロッパの社交界で着ることを前提に作り上げてきたスタイルなのです。

今回のウーステッド・カシミアの風合いは、実にシックです。

極上のカシミアで仕立てられた紺ジャケットを、まるでなんともないかのようにさりげなく着こなす。

やっぱりワードローブに必要なのは傑作の紺無地、誰もが羨望のため息をついてしまうような美しいジャケットなのです。

……..今回は「しがない洋服屋のくせにいい服を発注したな!」と思っていただけたかもしれません。

しかし残念ながら、この紺ジャケットはエンツォから突然送られてきたのです。

「きっと欲しい人がいるから、ナポリより愛を込めて」

とそういうわけです。

なぜ余談でキース・ジャレットの話をしたかって?

この唐突なマスターピースがまるで、キース・ジャレットのソロコンサートで突如として現れる、一度限りの名曲のようだったからです。

でも即興のコンサートの場合、これは名曲だった!と分かったときには終わっている。

それに比べてジャケットには、お客様が着用したその瞬間から別のストーリーが残されているのですから、実にお買い得じゃありませんか!

この二着のジャケット、オンラインストア掲載は2月5日20時を予定しております。

それではご機嫌よう。