THE POINT OF ELEGANCE エレガンスの消失点

有意義な時間というものの形は様々だ。団欒、集中、休息、夕暮れ、睡眠、作業、コーヒーの香り、三角定規、なんでも良い。意味のある時間というのは人それぞれだ。

それに対してエレガンスに関する討論ほど、元来無意味なものはない。なぜならエレガンスは語らないことがその最高点であり、語っている限りはその頂点にたどり着くことができないからだ。

だがこの無意味な討論も、道筋を見出すという意味では非常に大切だ。なぜならエレガンスの頂点は遠近法を用いた絵画の中に存在する、消失点のようなものだからである。

消失点は全ての線が集まる、絵画において最も大切なポイントだ。かと言ってその点自体を描くことほど無粋なものはない。その一点に向かう道筋を見出させることで、人々の意識を自然と消失点へと導く。これが素晴らしい絵画の条件だ。

そしてエレガンスもまた、その頂点の何たるかをぶしつけに語るのは無粋だが、そこに至るための道筋を示していくのは重要である。(ご存じの通り、それが私の仕事だ)

Dressed Sharp

英語で「こなれた服装をしている」「洗練された着こなしをしている」と表現したいときには、Sharpという言葉を使うことが多い。Sharp。すなわち彼らにとって美しい服装とは、鋭さを感じるほどに研ぎ澄まされたもの、ということなのだ。

ナポリ仕立てのリラックスした空気感は、一見するとこのDressed Sharpには当てはまらないように感じられる。

しかし彼らは日本人である私たちが思っている以上に、シャープさを求めている部分がある。日本人がイメージするナポリ仕立てといえば例の…アンコンストラクテッドでギャザーでいっぱいのジャケットだが、ナポリの紳士たちの中には案外もっとシャープなジャケットを好む人も多い。

シャープ。同じ言葉をあえて使ってみたが、ナポリの紳士たちの思うシャープは、かっちりとしてシワがないことでない。

ドレッシーであることだ。

例えば彼らの愛する生地を見てみよう。もちろんリラックスしたリネンのスーツも定番だが、彼らのワードローブを覗けば絶対にそれを上回る数のウーステッドのスーツが入っている。それも光沢のあるエルメネジルド・ゼニアやロロ・ピアーナの生地を使って仕立てた、パーティに行くようなスーツだ。

普段使いのスーツといえばもっと実用的な生地を想像するだろう。例えばフレスコのようなシワに強い生地だ。だがナポリの紳士たちはさらっとしたウーステッドが大好きだ。理由を聞いてみれば、こう言うだろう。「ドレッシーでクールだからだ」

ナポリの紳士たちのスーツをもう一度よく眺めてみることにしよう。生地以外にもあることに気が付くはずだ。それは肩と、ラペルだ。

彼らは日本人が意外に思うほど、ロリーノ(芯)入りの肩が好きだ。ほんの少し盛り上がったクリーンな肩からドラマチックに落ちるマニカ・マッピーナの袖こそが、彼らの好みなのである。これはドレッシーさとカジュアルさの掛け合わせのようなものだ。

そしてラペルだ。彼らは驚くほどピークトラペルが好きである。

なぜなら「ディナージャケットっぽくて、クールだから」だ。

彼らにとって、エレガントの一つの基準はディナージャケットと言っても過言ではない。だから普段着のスーツでも彼らはピークトラペルを愛してやまない。彼らにとってはこの鋭く尖ったラペルがTHE POINT OF ELEGANCE エレガンスの頂点そのものなのかもしれない、と思うほどに。

Nicola Giordano THE POINT OF ELEGANCE

ということで、ニコラ・ジョルダーノのピークトラペル……新モデルだ。

2つボタンに大胆かつクラシカルなラペル。そしてやや高めのボタン位置はサヴィルロウのスーツを思わせる。しかしラペルに付随する独特のカーブは、明らかにナポリ仕立て的。

この芸術的なカーブに襟の美しいのぼり方は、明らかに私たちが慣れ親しんだ仕立てだ。(それにしても美しい曲線の組み合わせだ)

袖はお馴染みのマニカ・マッピーナだが、肩にロリーノ(芯)がわずかに入ることで、全体的にはクリーンな雰囲気になっている。これは現在の形になる前の…….例えば1930年台のヴィンツェンツォ・アットリーニの仕立てや、60年代の黄金期を思わせるような真実のクラシックだ。

一転して直線的なポケットが非常にシャープな雰囲気。洗練されたディテールによって、ジャケット全体の雰囲気がしっかりと研ぎ澄まされている。

ディテールについて言うなれば、ボタンホールも忘れてはならない。既にこういった美しいボタンホールを描ける職人は少ない。だがニコラ・ジョルダーノのスーツには必須の美しさだ。

ついでに、希望する人にはこのジュエリーのようなマザーオブパールのボタンが付属する。このモデルの標準は3つボタンの(ほのかな)重ねだ。

もちろん肩の仕様や肩パッドの厚み、ラペルの幅や形状、ボタンの数など全てにおいて好きなように調整が可能だ。なぜならビスポークと同等のMTMなのだから。

そして……キャンペーンだ。

この新しいモデルを選んで頂いた先着5名に、モニター価格とも言うべきスペシャルプライスをご用意しておこう。

Nicola Giordano – The Point of Elegance MTM(残り1着)

ジャケット – 税込 326,370円 → 税込 250,000円 + 生地代
スーツ – 税込 378,235円 → 税込 300,000円 + 生地代

さらに仮縫い代(通常25,000円)が無料サービス。
生地代はベーシックなもので着分10,000円〜。

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