こんばんは、プロフェソーレ・ランバルディ静岡の大橋です。
今日は最近お客様にお納めしたサルトリア・カラッチオーロのバルカラーコート(ステンカラーコート)をご紹介しましょう。
サルトリア・カラッチオーロによるこのコートは実に印象的なスタイルを持っていますが、そのコンセプトは至ってシンプル。出来るだけテーラードな雰囲気をそのままに仕立てたバルカラーコート(ステンカラーコート)です。
襟型は後ろが高い典型的なバルカラー(ステンカラー)のスタイルですが、下襟は殆どチェスターフィールドコートのような形。あくまでサルトリアの作品であることが一目見てわかります。
上襟はカッティングで絶妙に立体感を作り出しており、襟を立てた時に絶妙なカーブを描くようになっています。もともとバルカラーコートというとかなり男性的で無骨な雰囲気がありますが、こちらはむしろ少し優美でスマートな感じと言えるでしょう。
またラグランではなくマニカ・カミーチャのセットインスリーブで仕立てているところに、ナポリのサルトリアとして矜持を感じます。
実に見事な雨降らしのギャザーは、セットインで肩をスタイリッシュに見せながらも、ラグランにも通ずるリラックス感を生み出しています。(ついでにアームホールに沿って入るハンドステッチもまた、良い味を出していますね)
袖のディテールはスリーブストラップというよりは、ベルトといった方が良いでしょう。美しい手縫いのボタンホールと、手縫いの鳥足掛けで留めた表情豊かなボタン。そしてハンドステッチ。
内側を見ても、その美しさは変わりません。最高級のコートにふさわしい仕立てです。
比翼仕立てはバルカラーらしくて魅力的なスタイルですが、手間は倍増します。しかしサルトリア・カラッチオーロはこちらが指定しなくても、その点をしっかり守って仕立てて来るのがさすがです。
最後になりますが、こちらのお客様にお選び頂いた生地は、最高峰のキャバルリーツイルであるHolland & Sherry ホーランド&シェリーのダコタです。なかなか良いお値段の生地ですが、その独特の光沢感と色合い、そしてハリのある生地感はやはり極上です。
どんな生地で仕立てるかによって、一気に雰囲気を変えるのがこのバルカラーコート。
デニムに合わせるのであれば薄手のガンクラブチェックウールで仕立ててもお洒落ですし、クラシックなウーステッドで仕立てるとスーツによく似合います。同じダコタのチャコールやネイビーも良いですね。
良いアイデアが浮かんでしまった方は是非、お問い合わせくださいませ。