こんばんは、プロフェソーレ・ランバルディ静岡の大橋です。
ナポリ出張から帰国し店を再開するやいなや、既に何人ものお客様にご来店頂きました。
これは大変嬉しい限りなのですが、私のブログの執筆がゆっくりであるために、店内に威風堂々陳列されている見知らぬ(そしてまた一寸の反省さえ見えない、無難とはかけ離れた派手なチェック柄の)ジャケット達を見て皆さんに尋ねられるのです。
「いったい、これは何のつもりなのかね?おっと違った、これはどこのサルトリアなのかね?」
そして私は答えるでしょう。
「ナポリが私にそうさせたのです」
後悔はしていません。もしこの美しいビンテージスタイルが皆さんに認められなかったら、私はナポリの夕日と共にまぶたを閉じましょう。世界が再び英国チェック柄の熱気を帯びた朝焼けに包まれるまで…。
Dilegua, o notte! Tramontate, stelle! All’alba vincerò…
消え去れ、おお夜よ!沈んでしまえ、星たちよ!夜明けに私は勝つだろう…。
– ジャコモ・プッチーニ『誰も寝てはならぬ』より
Sartoria Borbonica サルトリア・ボルボニカ 美しき時代のナポリ、その色彩を纏う服
さて遅くなりましたが、今日は皆さんに当店で取り扱いを開始する新しいサルトリアを紹介いたしましょう。
Sartoria Borbonica サルトリア・ボルボニカ。
18世紀〜19世紀前半、ナポリがパリやロンドンと並ぶ世界的な都市として栄華を誇り、グランドツアー熱狂の源であり、全ヨーロッパの旅の目的地であった時代。美しいネオ・クラシック様式の邸宅が立ち並び、高度な文化が花開いた時代。
その時代のナポリを統治したのがブルボン王朝(イタリア語読み、ボルボーネ)です。
ナポリでも特に貴族的で優雅な街、栄華を誇った時代の名残を持つメルジェリーナ地区にアトリエを構えるサルトリア・ボルボニカ。
現代にあってもなお世界を魅了するナポリ、その文化の原点とも言えるブルボン王朝時代の情景を、1960年代のビンテージスタイルを通して表現するサルトリアとして、4人の熟練したサルト達を中心にエレガントかつハイエンドな服を作り上げています。
18世紀末、英国文化に多大な影響を与えたナポリにはその後、20世紀に英国から世界一のエレガンスがもたらされました。
その歴史にインスピレーションを得たSartoria Borbonica サルトリア・ボルボニカは、ナポリの老紳士たちが未だ愛する英国調のチェック柄をモチーフとし、優雅で古き良き時代を感じさせる色彩を大胆に取り入れています。
もちろん色彩だけでなく、そのクオリティもまたクラシックなもの。
例えばジャケットの縫製は袖付けや襟付けに始まり、飾りステッチやボタンホールまで数多くの部分を手縫いでこなしたハンドメイド仕立て。アイロンワークがジャケットに立体感をもたらし、メイドトゥメジャーでありながらビスポークと見紛うほどのシルエットです。
マニカ・マッピーナと呼ばれるナポリ仕立て特有の雨降らし袖や、裾まで切ったダーツは当然採用しています。
肩のシームはナポリらしく後ろへと逃げており、その仕上げは非常に洗練されています。また襟の後ろからラペルにかけてのカーブと立体感は真横から見れば一目瞭然です。丸みを帯びた胸の立体と、しっかりと立ち上がるラペル、そしてバルカポケットの調和は極めて芸術的です。
しかしあくまでクラシックな佇まいこそがエレガントだとするSartoria Borbonica サルトリア・ボルボニカは、決してやりすぎることなく上品で端正なバランス感を持っています。しっかりと考えられた総毛芯や手縫いを主体とした縫製が、ただのアンコン仕立てでは生み出すことのできないメリハリの造形を作り上げているのですね。
あくまでハンドメイドの柔らかな着心地と温もりある雰囲気にこだわりながら、効率的な手法を取り入れることにより手の届きやすい価格からは考えられない高いクオリティを実現しています。
Sartoria Borbonica サルトリア・ボルボニカのジャケットには、その雰囲気にふさわしいビンテージ感の漂うボタンが縫い付けられます。非常にハイクオリティなコルノ・ボタンはその色合いや光沢にうっとりとしてしまうほどです。もちろん色や素材は自由に選ぶことができます。
いかがでしょう。
先ほど「ナポリでも特に貴族的で優雅な街、栄華を誇った時代の名残を持つメルジェリーナ地区にアトリエを構えるサルトリア・ボルボニカ」とご紹介いたしましたが、この辺りは本当にエレガントな地域です。
私が寝泊まりする騒々しい繁華街や、ピッチリーロ兄弟がアトリエを構える駅周辺の下町とはまるで別の国のように感じます。
エレガントな人々だけが生活し、すぐそこにナポリ湾を望む。その時代ごとにナポリ文化のパトロンとなってきた高貴な人々が住む街なのです。実際にここを歩けばあまりに多くの紳士達がビスポークのナポリ仕立てジャケットを颯爽と着こなしていることに驚きを隠せないでしょう。
そして彼らが愛する英国的なエレガンスを、ナポリの歴史と古き良き時代の香りで包んで仕立て上げるSartoria Borbonica サルトリア・ボルボニカのジャケットは、このような場所によく似合うジャケットなのです。
Sartoria Borbonica サルトリア・ボルボニカのオーダー方法と値段
Sartoria Borbonica サルトリア・ボルボニカはプロフェソーレ・ランバルディ静岡にて日本独占販売、MTMとして展開致します。
現地ナポリ以外での展開は当店が世界で初めてとなります。
JACKET – ¥190,000(税込)
SUIT – ¥230,000(税込)
スーツではなくジャケット・トラウザーのセットアップでも、スーツと同等金額でオーダーが可能です。
ジャケットの場合、このサルトリアのために用意された対象の英国調ビンテージ生地(写真右がその一部)の中から選べば、通常着分2〜3万円の生地代が一万円均一となり、一律200,000円(税込)にてオーダーが可能です。
※生地の数には限りがございますので、お好みの色柄が売り切れてしまう場合がございます。
採寸はサイズゲージを使用して行います。MTMではありますがモデルやディテール等に制限はなく、ビスポーク同様の細かなオーダーが可能です。
納期は通常3ヶ月前後です。
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