皆さんこんばんは、プロフェソーレ・ランバルディ静岡の大橋です。
今回はちょっとした着こなしのヒントについて、書きたいと思います。それはすなわち、「人前でジャケットを脱いでも良いのか、常に着ていなければならないのか」という点です。
スーツの着こなしの正式なルールではジャケットを脱いではいけないということになり、シャツ姿を見せることは下着姿を晒すことと同義だと言われています。
しかし現状の日本を見れば、クールビズの真っ只中でジャケットを着ている方がどうかしていると思われてしまいそうな具合です。
実際、西欧に比べると非常に暑く、南欧に比べると湿気が多くて蒸し暑い日本では、6月後半にもなると現実的にジャケットを着るのが難しくなってきます。
では、スーツの正式なルールと実情のどちらを優先すべきなのか?
ちょっと考えてみましょう。
スーツの上着は脱ぐべからず?
皆さんご存知の通り、スーツの上着は正式なルールだと脱いではいけないということになっています。
ご覧になったことがある方もいらっしゃるかと思いますが、シャツはもともとパンツ(トラウザーズではなく、おパンツです。念のため)と一緒になったデザインでした。だからシャツ姿は下着姿だと言われるのですね。
そのため正式な場ではジャケットを脱ぐことは許されていませんし、どうしてもジャケットを脱ぎたい場合にはウェイストコートを着用する=3ピーススーツを着ることによって対応するのがルールとなっています。
しかし現状では、スーツの本場イギリスやイタリアであっても、そこまで気にしている人は多くありません。
むしろ適宜状況に合わせて着たり、脱いだりしているのです。
スーツやドレススタイルの世界ではルールに囚われすぎてしまう、またはルールが揚げ足取りに使われる、ということが少なくありません。しかし人間はファッションのためにあるのではなく、生活するためにあるのですから、服装のルールにひれ伏す必要はないのです。
シャツ姿を晒してはいけない、というルールはもちろん存在していますが、それが本当に求められるのは正式な場か、もしくはルールを気にする人に会うときでしょう。
例えばパーティ、大事なビジネスなどのときには是非ジャケットを着用しましょう。外を歩いているときや友人と会うとき、また適当な店主が営む洋服店を冷やかすときなどには、ジャケットは脇に抱えていれば問題ありません。
ここで大事なのは、あくまでジャケットを持ち歩いていることです。急に付き合っている彼女のお父さんと出くわして、挨拶をすることになってしまったときに、シャツ姿ではカッコがつきませんからね。あとで「ああ私の上着よ、どうしてあの場にいて、全ての汚点と軽率さをその身頃の中に隠してくれなかったのか」と嘆いても遅いというわけです。
ジャケットスタイルは自由に着よう
さてスーツはともかくとして、休日のジャケットスタイル(あるいはカジュアルなセットアップ)の場合はどうでしょう。
この場合にも「大変なお洒落人」でいるためには、ジャケットを脱いではいけないのか?あるいはウェイストコートを着てシャツ姿が晒されないように注意しなければならないのか….?
いや、そんなことはありません。
カジュアルにおいては、何を着ても自由なのです。ですからジャケットを脱いではいけないということは、全くありません。銀座で一流メゾンのブティックに入ったとき、暑くなってジャケットを脱いだからといって「さあ、出口はあちらですお客様。よい1日を」と黒服に追い出されることはないのです。
さらにジャケットスタイルにおいては上下が連続した服ではないので、そもそも常に組み合わせて着なければいけないというルールが存在しないのです。
また最近ではカジュアルシャツがそれ単体でも映えるように色々と考えられており、より着こなしの自由度が高くなっています。日本の気候にも適したシャツスタイルは、永遠のスタンダードとなるでしょう。
むしろ注意しなければならないのは、ウェイストコートの使い方です。
カジュアルの着こなしではオッドヴェストとしてウェイストコートの着こなしを楽しまれている方も多いかと思います。ただカジュアルなジャケットにオッドヴェスト、柄のシャツにネクタイ、ポケットチーフとくると着こなし自体が複雑になりすぎてしまいがちです。
特にウェイストコートは仕立ての良し悪しによって着こなしの「クラス感」を左右するので、せっかく他の着こなしが良くてもウェイストコートがカジュアルすぎると、大人っぽさに欠けた雰囲気になってしまうこともあります。
ですからジャケットスタイルでウェイストコートを着こなすときには、全体が複雑でやりすぎになっていないか、それからそのウェイストコートの仕立てや生地が良いかを今一度チェックしてみてくださいね。
それでは、また後ほど。