こんにちは、プロフェソーレ・ランバルディ静岡の大橋です。

今日は皆さんに、ナポリ最高のサルトリアの一つであるSartoria Ciardi サルトリア・チャルディに仕立ててもらった、私の新しいジャケットを紹介したいと思います。

今回のテーマは…などと言って実は特にテーマなどはなく、私は色々なストライプやチェック柄の生地を候補にあげていたのです。しかし、かのSpacca Neapolis Ties スパッカ・ネアポリスのトランクショーのときにNicola Radano ニコラ・ラダーノに相談したことで私のスーツは紺無地に決まってしまいました。

「え?サルトリア・チャルディで次の一着?僕のストックに良いカシミアの生地があるんだよ。それで作っておくね」

「えー、これ?これよりカシミアの方がいいよ。すごい生地なんだよ、そのカシミア」

とそういうわけで、生地を実際に見ることもなくオーダーしたのがこのスーツだったわけです。

もちろん後で見たら、生地代もちゃっかり請求書に載っておりました。しかしその生地は残念ながら、大当たりとしか言いようがない逸品だったのです。

ビンテージのカシミア100%生地。だいたい280g/mのかなり軽めの生地ですが、ぎっしりと目が詰まってコシのある風合い。ちょうどふんわりとした上質なカシミアをぎゅっとプレスしたような、独特の生地感です。

しかし特筆すべきはその美しい光沢でしょう。それこそ濡れたような奥ゆかしさを持つ光沢です。フランネル生地ですが、まるでウーステッドのように繊細で、陽の当たり具合でそのトーンを変えます。

漂うグレード感は、やはり生地の上質さからくるものでしょう。

そしてSartoria Ciardi サルトリア・チャルディの仕立てです。

数多くのビスポークスーツを見てきましたが、やはりSartoria Ciardi サルトリア・チャルディは素晴らしい。レナートが亡くなった現在でも変わらない、いやニコラ曰く「さらに進化している」この仕立ては、一見しただけでも違いを感じますね。

まずは美しいショルダーのフィッティング。肩峰にショルダーの終着点を置き、そこを頂点として緩やかなカーブで作られるアームホールは、一切の迷いも見せない鋭い線を描いています。

Sartoria Ciardi サルトリア・チャルディを始め、老舗のサルトリアになればなるほどこの部分の仕上げが繊細に、狂いのないものになっていくのは、皆さんもお気づきでしょう。

ご覧のように肩のシームラインは後ろへと逃げていきますが、その様子は決してやり過ぎず、大変エレガントな雰囲気を醸し出しています。

この仕上げは非常にプロフェッショナルですね。

ナポリ仕立ての特徴と言われるマニカ・マッピーナ、雨降らし袖。この部分は本当に一つ一つのサルトリアによって、あるいは一人一人の職人によって異なりますが、これは貴族的なエレガンスを持つSartoria Ciardi サルトリア・チャルディにふさわしい雰囲気です。

また背中から襟にかけての美しいフィット、そしてラペルの立体感にも注目してみましょう。そこにどれほど入念なアイロンワークと、高い技術が秘められているかが見て取れるはずです。

私が思うところでは、この丸みを帯びつつも切れ長に伸びるラペル、その返り方、自然なドレープ感、そして低めのボタン位置こそがSartoria Ciardi サルトリア・チャルディの特徴です。

Antonio Panico アントニオ・パニコほどドラスティックな絞り込みではなく、かと言ってSartoria Solito サルトリア・ソリートほどベーシックな雰囲気でもない。男らしいラインではあるがあくまで無骨さを排したシルエットの中には、ある意味たくさんの「不調和」があります。

Difetto è effetto.

不完全さが、効果をもたらす。

Renato Ciardi

フィレンツェのLiverano & Liverano リヴェラーノの仕立てを見たとき、私は一着の全てが調和していることを感じます。そこには芸術家としてのリヴェラーノの完璧な美意識があるのです。

しかしSartoria Ciardi サルトリア・チャルディの仕立てには見る人を強烈に引きつける不調和がある。それはまるでウィットの効いたジョークのような、あるいは最も格式高い紳士がふと見せるおどけた笑みのようなものです。

どことなく知的で、少しおどけたような表情を見せるこのカッティング、ここには明確にレナートのウィットに富んだトークを感じます。

肩周りにからフロントカットへと至る前身頃の雰囲気は、Sartoria Ciardi サルトリア・チャルディの場合あくまで非常に堂々としています。

ナポリ仕立ては往々にして後ろに振れるような少し前傾の仕立てになっています。そのため前ボタンを開けると前身頃が大きく開き、また違った表情を見せるのです。

この独特の立体感を生み出しているのが、例のナポリ仕立て的なディテール、裾まで取ったダーツです。

ナポリ仕立てでは注文を出さずとも、このようにダーツを裾まで取ることが多いですね。

Sartoria Ciardi サルトリア・チャルディの場合は、必ずといって良いほどこのような仕立てになります。もちろんシルエットの好みですので、必須ではありません。

前身頃のドレープの美しさは、こんな構図で見て見るとよくわかるでしょう。上品な絞り方ですが、各所にふんわりとした立体感ができている。これはアイロンワークと優れたカッティングの成せる技ですね。

しかし改めて見ても、生地の光沢としなやかさ、そして同時に兼ね備えたコシの強さを感じます。

もちろんボタンホールやステッチワークの美しさは、もはや語る必要もないでしょう。熟練した職人が手がける一着は総じてボタンホールやステッチが美しい。

Sartoria Ciardi サルトリア・チャルディの場合には、袖ボタンを3つボタンにすることが多いですね。決まりはありませんが、彼らのテイストに従ってみるのは、面白いことです。

いかがでしょう、Sartoria Ciardi サルトリア・チャルディ。

このジャケットは本当に素晴らしい出来ですが、語弊を恐れずに言うのであれば全く特別なジャケットなどではありません。

Sartoria Ciardi サルトリア・チャルディで仕立てられるメジャーメイドやビスポークのスーツは全てが、このように美しく出来上がるからです。

皆さんにも是非、この歴史ある仕立てを体験していただきたいと思います。

ちなみに今日合わせていたシャツは、Camiceria Piccirillo カミチェリア・ピッチリーロのコットンリネンシャツ。やや軽めのカシミアであることを生かして、コットンリネンでさらに秋らしい着こなしにしてみました。

ちなみにビンテージの特別な生地で仕立てたい方はご相談ください。

ニコラにいい生地を持っていないか、聞いてみます。

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