Sartoria Caracciolo サルトリア・カラッチオーロのナポリ仕立て既製服ができるまで

こんにちは、プロフェソーレ・ランバルディ静岡の大橋です。

すっかり久しぶりの投稿になってしまいました。

このつまらない書き出しを読んで、あまりに執筆をサボりすぎたせいで、もはや私がすっかり文章の書き方など忘れてしまったのだと思ったら大間違いです。

私はそれどころかこの記事を執筆するために、使わずに貯めておいたのです。

文字を…。

さて、今日は皆さんに当店で扱っているSartoria Caracciolo サルトリア・カラッチオーロの既製服が、どんな風にして出来上がってきているのか。それを皆さんにご紹介したいと思います。

まあここだけの話、かのSartoria Caracciolo サルトリア・カラッチオーロによる限りなく無茶振りに近いブルーの既成スーツが未だに売れ残っている現状を受け、それがどれほど貴重なスーツであるかを感情的に訴えかけようという作戦なのです。

サルトリアの既製服はどのようにして生まれるか

Sartoria Caracciolo サルトリア・カラッチオーロを私に紹介してくれたのは、何を隠そうナポリを代表するファッションブロガーでありSpacca Neapolis Tiesのオーナーである、ニコラ・ラダーノです。

彼とは事あるごとにくだらないジョークばかりを言い合っている仲ですが、しかし仕事のときは真面目です。

私はSartoria Caracciolo サルトリア・カラッチオーロのMTMを展開するにあたって、その完成見本にもなり、サイズチャートにもなる既製服が絶対に必要であるとニコラに相談していました。

そしてついに私は既製服のためにSartoria Caracciolo サルトリア・カラッチオーロを再度訪れることになったのです。

さあ、今からその全貌を皆さんにお話いたしましょう。

日本のバイヤーがイタリアで何をしているか。どんな風にオーダーをしているのか。ついに長い沈黙を破り、このヴェールに包まれた真実を暴露するときがきました。

当日の朝。

私はいつもよりも20分早く目覚めると、トレド駅近くのボロ宿を後にして、ナポリ中央駅へと向かう。そしてナポリ中央駅の中でも特に荒廃したホームから、チルクムヴェスヴィアーナ鉄道に乗る。

行き先はニコラの住むポルティチ。ちなみにナポリ – ポルティチ間はイタリア統一後初めて開通した鉄道だと言われているが、その歴史を背負っているかのような旧式の電車である。

ひどい音を立てながら、ヴェスヴィオ火山へと近づいていく。

ニコラ・ラダーノはいつも通り「なんて渋滞だ」と言いながら30分遅れて2人乗りのスマートで登場する。

すでに駅の近くで彼を待ちながら砂糖がけのクロワッサンを食べ、カプチーノを飲み終わっていた私を、「彼の思う最も良いバルの一つ」に連れて行ってカプチーノと砂糖がけのクロワッサンを2つずつ注文する。

私はこの素晴らしい朝のひとときを、生涯忘れることがないだろう。

なぜなら二杯目のカプチーノをうまそうに飲む私の間抜けな顔は、店の外に偶然通り掛かったサルトリア・ピッチリーロの職人に目撃されていたからである。

ニコラと私はカプチーノをまるでショットグラスのテキーラかのように素早く飲むと、次は高速道路に乗ってナポリ北部へと向かう。

ニコラ・ラダーノはSartoria Caracciolo サルトリア・カラッチオーロまで連れてくると、手早く挨拶を済ませ、早速カラッチオーロの二人とニコラと私とCane(いわゆる犬)の4人+1匹で、既製服の詳細ついて打ち合わせを始める。

Sartoria Caracciolo サルトリア・カラッチオーロは何も注文せずとも素晴らしいスタイルを持っているが、そのトラウザーズについてや細かい部分などは、やはり私が決めなければならない。

特にトラウザーズはニコラと全く同じモデルをセレクトする。Mod. Nicolaと名付けられたトラウザーズである。

全てが決まった頃に、Sartoria Caracciolo サルトリア・カラッチオーロのアレッサンドロが私に「ほら、お腹が空いているだろう」とカプチーノと砂糖がけのクロワッサンを持ってきてくれる。

次は生地である。

ニコラ・ラダーノは私におすすめの生地を2、3セレクトする。それはSartoria Caracciolo サルトリア・カラッチオーロがストックする素晴らしい生地の中でも、特に美しいウールやウールカシミア、ウールモヘアなどである。

その中に一つ、グリーンがかった明るいブルーの美しいウールモヘア生地がある。耳もない、デッドストックの素晴らしいクオリティの生地だ。

そしてSartoria Caracciolo サルトリア・カラッチオーロの二人とニコラが口々に言う。

「Mamma Mia なんて素晴らしい色だ」

「Dio これほど美しいブルーがあったとは」

「Che bello ああ、きっと一瞬で売れてしまうよ」

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ここにはある効果が働いている。それは、日本にいたら絶対にオーダーしないであろう柄や色が、ナポリの空の下にいると決して悪くないどころか、むしろ当たり前のセレクトであるように感じられる効果である。

ギリシア人が紀元前8世紀に初めてこの地に住み始めてから何も変わっていないようなナポリ湾の美しいブルーと、色とりどりなナポリの街を浮かび上がらせる太陽。そしてこの生地をまるで『湯浴みするヴィーナス』を見るようにうっとりと眺める3人のナポレターノたち。

これらを前に私はついに「どうしてこの素晴らしいブルーのスーツが売れない」などということがあるだろうか、と本気で考えるようになった。

これでこの日の物語は終わりであり、かくしてあのスーツはプロフェソーレ・ランバルディ静岡の店頭に並び、あの3人のナポレターノ達と同じ感性を持つ「本物の洒落者」が現れるのを、ひたすらに待ち続けている……。

Sartoria Caracciolo サルトリア・カラッチオーロの既製服

Sartoria Caracciolo サルトリア・カラッチオーロが生み出すスーツは、それがビスポークであろうと既製服であろうと関係ありません。

ナポリ仕立てを自身がこよなく愛し、常にナポリのサルトリアであることを選ぶSartoria Caracciolo サルトリア・カラッチオーロのアレッサンドロとニコラ(ラダーノとは別人です)は、一着一着に誇りを持って仕立てているのです。

プロフェソーレ・ランバルディ静岡ではこれからも、Sartoria Caracciolo サルトリア・カラッチオーロのメイドトゥメジャーを展開しながら、少しずつ既製服を皆さんに紹介させていただくでしょう。

それはニコラ・ラダーノと私が是非とも皆さんにお伝えしたいナポリ仕立てであり、Sartoria Caracciolo サルトリア・カラッチオーロがその威信をかけて生み出す一着です。

もしお気に入りのファブリックや、スタイルのSartoria Caracciolo サルトリア・カラッチオーロの既製服を店頭やオンラインストアで見つけたら、是非袖を通してみてください。

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