こんばんは、プロフェソーレ・ランバルディ静岡の大橋です。
今日はこの静岡市鷹匠と周辺2つの地区が合同で「みてたバル」という、前売りチケット制のイベントが開催されています。
プロフェソーレ・ランバルディ静岡もこの超絶ローカルイベントにさりげなく参加しており、ニュイ・エトワーレという高級紅茶とプロフェソーレ・ランバルディでお客様にお出ししている珈琲(ランバルディブレンド)を販売しております。
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皆さまのお越しをお待ちしております。
さて、何はともあれ今日は皆さんにビスポークの際の生地選びについて、ひとつお話させていただければと思います。
ビスポークには、どんな生地が適しているのか?
ナポリ仕立てのビスポークスーツを作るとき、大きく悩むのは何か。
一番悩むのは間違いなく「その資金をどのように集めるか」、そして次に悩むのは「どのようにして家族にバレずにワードローブに加えるか」。
そして、どんな生地で仕立てるか。
家にいるときには何か明確なイメージがあったはずなのに、いざ店まで赴いて仕立てる段になると急に迷い始めてしまい、挙句に全く違う雰囲気のものをオーダーしてしまう。
そしてそれが吉と出るか凶と出るかは、スーツが上がってこないことにはわからない。
そういうわけで、ビスポークをするのがちょっと怖いと感じる人もいるでしょう。
ですから今日は皆さんに、私がニコラ・ラダーノに教わったことを中心に、ビスポークに適した生地の選び方を紹介します。
繊細すぎず、こしの強さがあること
まずビスポークの際に重要なのは、その生地が繊細すぎず、ハリコシがある生地であること。
既製服ではラグジュアリーな生地を使うことが少なくありませんよね。
Super 180’sのウールやピュアカシミアの生地。もちろんそういったものが悪いというわけではありません。むしろそのようなラグジュアリーな生地で仕立てれば、やはり贅沢なビスポークスーツが出来上がるのです。
注目すべきは、同じ呼ばれ方をされている生地(例えば同じSuper 180’s)でも、織り方やメーカーなどによって全く異なるということです。
ビスポークをするときには、こしが強くて目の詰まった生地を選ぶのが大切です。
それはビスポークスーツを長持ちさせるという意味もありますし、仕立て栄えをよくするという目的もあります。
柔らかな生地には、まるで滑り落ちるようなしなやかさがあります。
そういったしなやかな生地はもちろん美しいのですが、ビスポークスーツのように体に対する完璧なフィッティングを目標としてスーツを仕立てる場合には、立体の再現力が足りない場合があるのです。
逆にコシのある生地は、アイロンワークや縫い方で自由に立体を作っていきます。つまり体のあらゆる部分をしっかりと包み込むような、美しいシルエットが生み出せるのです。
ちなみにその点で、ホーランド&シェリーは大変バランスが良いですね。
厚すぎず、重すぎないこと
しかしここに大きな誤解が生じます。
それはビスポークスーツを仕立てるのには、コシがあって重量があり、目が詰まって厚さのある生地が仕立て栄えして良い。そしてそれはビンテージ生地こそが持っている特性なのだ…と。
もちろんその気持ちはわかるのです。
厚手の生地であれば着ているうちに風合いも増していきますし、長く着込んでいきたいビスポークにはぴったりでしょう。
しかしそういったいわゆるビンテージ生地的なヘビーさを持っている生地が、一概に良いとは言い切れません。
なぜか。
まずはその「仕立て栄え」です。もちろん先ほども書いたようにハリやコシのある生地は立体感を生み出しやすく、体に沿った美しいシルエットを作り上げるのに向いています。
ですがシンプルに重厚な生地を使ったジャケットを見て、それが「美しい」と感じるでしょうか。
例えばドーメルのSPORTEX VINTAGEのような分厚い生地を使った場合、ジャケットは全体的にぼってりとした雰囲気となります。ラペルやフロントカットのエッジが厚くなり、ステッチワークやアイロンワークが生み出す陰影は感じにくくなります。
もちろんその丸みがある雰囲気も素敵なのですが、「仕立て栄えがする」といっても、この雰囲気をよしとするかはその個人によります。
ですからその点は自身で判断して、選ぶようにする必要があります。
例えばナポリ仕立ての手縫い感を楽しみたいのであれば、むしろ薄めの生地の方がその軽快さが際立つでしょう。冬物であれば260g/m 〜 280g/mのフランネルなども良いかもしれません。
また合い物であれば、長い期間に着られるのもやはり軽めのものですね。
逆に全体的に丸い雰囲気、重厚な感じが欲しければやはりビンテージ調の重量がある生地にしましょう。
自分に合う色を選ぶこと
最後に意識すべきなのは、その色が自分に合うのか、はたまた自分の好きな色であるかどうかです。
何を今さら、という感じもしますがこれは大事なことです。
例えば生地のバンチや、どこかのショップがストックしている生地のコレクションなどを見ていると、その生地の希少性ゆえにそれで仕立てたくなってしまうことも少なくありません。
しかし特にビンテージの生地などでは、お世辞にもオシャレとは言いかねるような色合い、柄のものが少なくありません。
ビンテージの生地は難しいよ。だって…ビンテージなんだからね。こっちに好きな柄で質もなかなかの生地があるのに、ビンテージだから、という理由でこっちのヘンテコなチェック柄を選ぶのは無意味なことさ。(ナポリのある職人)
非常に珍しく、価値のある素材であったとしても、仕立て上がったときの色柄が好みのものでなければ、それは間違ったビスポークと言えるでしょう。
ですからまずは自分に似合う色や、柄であるかを最優先しましょう。
そしてそんな中に、上質な素材で織られた、豊かな光沢とコシの強さがある、希少な生地があったら…それはとても幸運なことなのです。