ナポリの服として、私たちが最初に出会うのはやはりアットリーニやキートン等が多いのではないでしょうか。

私もまた初めて着たナポリの服は、アットリーニだったのです。

しかしあるとき、ナポリにはサルトリアの奥深い文化があり、そこには星の数ほどの職人たちと、名高い工房、そしてそれを愛する幾千もの洒落者たちがいることを知りました。

そして私たちは、ナポリ仕立ての世界へとはまっていってしまうのです。

しかしナポリのサルトリアは個々に紹介されてばかりなので、一体どんな風に存在するのか、想像がつきにくいのではないのでしょうか。

そこで今回は皆さんに、ちょっとしたナポリ旅行をしていただくと致しましょう。

中央駅からトレド通り

ナポリについたらまずは、中央駅から出ずにメトロでトレド駅へと向かいましょう。この駅は繁華街の中心に出ることができる、便利な駅です。

降りてすぐにあるのが、サルトリア・ソリートです。イメージで言うと、新宿三丁目のビルにテナントが入っているという具合で、かなり一等地です。

今サルトリア・ソリートは大変な人気のようですね。ややコンパクトなサイズ感で合わせるジェンナーロ・ソリートのフィッティングと軽快さを追求した仕立てには、彼自身の確固たる意思を感じられます。

サルトリア・ソリートは彼自身が大変にクラシックな着こなしを好むこともあり、ネイビーやグレーのスーツをオーダーしたくなりますね。

他にもトレド通りには当店取扱いのルイジ・グリマルディもあります。

また有名なスパッカ・ナポリという通りにはこのトレド通りの北の方から入ります。もちろんニコラ・ラダーノのネクタイブランドであるスパッカ・ネアポリスはここから名付けられています。

ちなみにこのスパッカ・ナポリを抜けた先のかなり騒々しく庶民的な地域に、サルトリア・ピッチリーロがあります。

サルトリア・ピッチリーロがあるのはフォルネッラという現地の人でも用事がなければ行かないような治安の悪い地区の近くですが、その分昔ながらの猥雑としたナポリを垣間見ることができますね。

昔、区画整理がされてトレド通りやウンベルト1世通り、ムニチピオ広場等が作られる前のナポリは、ラッザローネといういわば失業者がたむろする乱雑な街でした。

トレド通り付近はもはや綺麗になってその面影もありませんが、駅からドゥオモ通りまでの地域には、まだその名残が残っています。(その分、マフィアの本拠地だったり、移民がたむろしていたりと治安は悪いのでご注意ください)

このような場所を見ると、サルトリア・ピッチリーロの古臭いナポリの伝統工芸な雰囲気が理解できるような気がします。

ここから南に下るとウンベルト1世通りがあり、この辺りにはサルトリア・ヴォルペや生地商カチョッポリがあります。

さて、トレド通りに戻りましょう。このトレド通りを下り、老舗バルのガンブリヌスで一杯のエスプレッソを飲んだら、その横が名高いキアイア通りです。

キアイア地区

この通りにはサルトリア・ドメニコ・ピロッツィと、サルトリア・カリエンド、そして突き当たりにはロンドンハウスがあります。写真はロンドンハウスの店舗内です。

サルトリア・カリエンドは現地では高級店として有名で、その仕立ては素晴らしいものです。

私も一度実物を見せて頂いたことがありますが、昔ながらのナポリ仕立てらしい雰囲気と、手仕事の良さが感じられるジャケットでした。

ロンドンハウスは現在ルビナッチとして既製服も売っていますが、これはビスポークとは全く異なる仕立てですので、あまりおすすめできるものではありません。むしろスカーフやネクタイ等が洒落ていて良いですね。

キアイア通りを抜けたあたりはキアイア地区と呼ばれ、サルトリア・フォルモサやアットリーニの本店、その横アルジェニオなどがあります。ちなみにアットリーニ本店の近くには昔、ランバルディ教授が通っていたウーゴ・マッサのサルトリアもありました。

サルトリア・フォルモサのスーツは力強さと独特のバランス感が魅力です。なんとなく丸みを帯びているにも関わらず、ボリューム感があり堂々とした雰囲気。仕事も丁寧で、日本以外でも人気と聞いています。

少し進むと、サルトリア・チャルディとサルトリア・パニコがあります。この二軒はナポリの数あるサルトリアの中でも特に有名ですが、レナートとアントニオは友人だったとのこと。他のサルトリアを認めることが少ないナポリでは珍しいですね。

アメデオ駅のすぐ近くにはサルトリア・ペルーゾがあります。そのまま南に下って海沿いに出れば、ナポリの老舗として有名なチレントを見つけられるでしょう。

メルジェリーナ地区

キアイア地区をさらに西へ進むと、ランバルディ教授の家も超えて、メルジェリーナ地区になります。メルジェリーナ駅あたりは少し庶民的な雰囲気ですが、海に向かって進んで行くと高級住宅街になります。この辺りにサルトリア・ピロッツィとアンナ・マトッツォがあります。

アンナ・マトッツォについてはナポリでも有名なカミチェリアですが、その値段を聞くと誰もが驚くようです。アトリエにはカルロリーバをはじめとした最高級生地が並んでいます。

海沿いにはサルトリア・ダルクオーレがあります。ちなみに上の海岸沿いの写真はサルトリア・ダルクオーレのアトリエ前です。

サルトリア・ダルクオーレは以前サルトリア・ピッチリーロのすぐ近くにありましたが、脱税問題で一度アトリエを移動したと言われています。

サルトリア・ダルクオーレは現在でこそ別工房で仕立てる既製服なども扱うようになりましたが、以前は現地の洒落者に愛される小さなサルトリアでした。

やはりルイジ・ダルクオーレ本人の芸術的なカットは唯一無二で、彼の本物の作品を求めてナポリのアトリエを直接訪れる人も少なくありません。

 

さてナポリのサルトリア紀行、今回はこのくらいにしておきましょう。

もう、7時間時差のナポリでも日が沈み始める頃ですから…。

, , , , , , , , , , , , ,
こちらの記事もおすすめ
Latest Posts from PROFESSORE RAMBALDI

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA