Rambaldi’s Linen ランバルディ教授が愛したアイリッシュリネン

こんにちは、プロフェソーレ・ランバルディ静岡の大橋です。

先日「デッドストック生地を巡る冒険」という村上春樹ファンの方に弾劾されてしまいそうなタイトルの記事で、少しだけ触れていたアイリッシュリネンが到着しました。

実はこのアイリッシュリネンは、ドラッパーズでもなければ、スペンス&ブライソンでもない。恐らく日本で知る人はいないであろう小さな織元から直接購入した生地なのです。

ランバルディ教授が愛したアイリッシュリネン

ランバルディ教授のジャケット。ヴィンツェンツォ・アットリーニと同時代のマエストロ、ウーゴ・マッサがアイリッシュリネンで仕立てたジャケット。

ランバルディ教授がどんな方かは、きっとご存知でしょう。(まだご存知ない方はこちらをどうぞ)

ナポリでランバルディ教授の着ていたジャケットやスーツを全てランバルディ夫人から譲り受けた時、私は一つのことに気がつきました。

それは彼のワードローブが非常に考え抜かれたものである、ということです。

秋冬スーツはライトツイードの英国チェック柄で、秋冬ジャケットは無地のブラウン系カシミアウール。

ネイビージャケットは必ず紺のダブルブレステッドに貝ボタンで、シングルはない。

合物はベージュから煉瓦色までカラフルな色合いだが、必ずシングルのコットンスーツ。

そして春夏物は、必ずアイリッシュリネンのジャケットだったのです。

アイリッシュリネンのジャケットは彼のワードローブに数着ありましたが、どれもUgo Massaというマエストロの仕立てで、素晴らしい雰囲気を持っていました。

生地もちろん30〜40年前のビンテージリネンですが、決して重くない。

今ビンテージ的として人気のある360g/mとか、480g/mとかそういったリネンではありません。240g/m〜270g/mのミディアムウェイトで、まるでモヘアシルクのように輝き、リネンとは思えないほど強いコシとハリ感を持っているのです。

そのときから私は、自分の店で扱うリネンについては悩んでしまうこととなりました。

せっかくプロフェソーレ・ランバルディ静岡で扱うからには、こんなリネンを扱いたい、と強く願っていたからです。

リネンの良さは重さだけじゃない

左が今回入荷したリネン。右はランバルディ教授のジャケット。

そこでそれこそドラッパーズやホーランド&シェリーなどのバンチを貪るように探し始めたものの、何かが違う。それらのリネンはもう少し軽快な雰囲気で、ランバルディ教授の愛したリネンとはまた少し異なるものだったのです。

スペンス&ブライソンはさすがアイリッシュリネンの定番だけあり、とても良い。

特にこのブランドの重量のあるヘビーウェイト・リネンは人気もあります。

しかしそこまで重い生地ではないのです。重さではなく、むしろ生地自体のコシや、もっといえば麻素材自体の強さが少しだけ違うような感覚がありました。

そこで私はアイルランドのリネンを製造する織元を片っ端から当たっていくことにしました。

ご存知の通り、アイリッシュリネンは現在アイルランド産の麻ではなく、ベルギー等の国外の麻を使って織られています。それが数十年も前のリネンと同じはずがないのです。

しかし同じアイリッシュリネンでも有名どころでは中国や南アフリカで紡績されているところも少なくない。

それなら、できるだけ昔ながらの方法を維持しながら生地を作る織元を探せば良いのではないか、とそう考えたわけです。

そしてついに見つけたのが、今回のアイリッシュリネンなのです。

左が今回新入荷のリネン。右はランバルディ教授のジャケット。

もちろん色や目の大きさは多少違います。

しかしこの手触り、ハリ感、そして光沢…これは間違いなく、今手に入るアイリッシュリネンの中で最も、ランバルディ教授の愛したアイリッシュリネンに近いものだと確信したのです。

アイリッシュリネンを愛用すること

どんな商売上手な人が考え出したのか、私たちファッション業界は良質な生地を売る時には「世代を渡って愛用できる」なんてことを言います。

実際にはお子さんと身長が30cm違う可能性もありますし、なんとも言えないのですが、ですが一つだけ言えることがあります。

それは確かに、良質なリネンは何十年経っても魅力的な生地であるということです。

そしてアイリッシュリネンは奇しくも、着れば着るほどに美しい風合いになっていく。もちろん擦り切れなどは仕方がないのですが、その風合いはどんどん増していくものです。

今回、ベージュだけでなくネイビーやブラウンなどいくつかの色を入荷いたしました。

生地は二種類、280g/mのランバルディ教授のジャケットと並べて写真に写っている生地と、上の写真のインディゴネイビーとブラウン、やや軽めの230g/mの生地です。

他にもダークネイビー、キャメルやカーキ、アイボリーなど人気の色がいくつかございます。

すでにスリーピーススーツでご検討頂いているお客様もいらっしゃいます。私もベージュでスリーピースを仕立てようかな、と考えております。

アイボリーでダブルのジャケット、ネイビーでややドレッシーなスーツも良いですね。特に280g/mの方はビジネスでもお使い頂けるような端正な雰囲気です。

希少なリネンではございますが、2月10日までは春夏生地キャンペーンもやっておりますので、ぜひお問い合わせくださいね。

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